オープンソース・ライセンスの承認を行なう米Open Source Initiative(OSI)は,オープンソース・ソフトウェアに関する活動を拡張し,その基盤を確立するための組織改革を米国時間2月1日に発表した。その一環として,OSIの共同設立者であるEric Raymond氏は会長の職を辞した。

 同団体は,オープンソース・ソフトウェアのプロバイダとのネットワークを拡大し,より世界的な展望を確立するために活動を拡張する。新しい活動には,オープンな標準技術の策定,オープンソース原則の定義,オープンソース・ソフトウェアのプロジェクト登録制度の作成などが含まれる。また理事会は,役員を9名に増強し,米国外から新しいメンバーを迎える予定も明らかにした。

 Raymond氏は,「設立者やリーダーにとってもっとも重要な責務の1つは,引き際をわきまえるということである」とコメントしている。同氏は,オープンソース・コミュニティにおいて大きな影響力を持っており,辞任後もOSIと協力して「親善大使」的な役割りを果たすという。新しい会長としてRuss Nelson氏,副会長としては米Red Hatでオープンソース問題担当副社長を務めるMichael Tiemann氏を迎える。

 また,OSIは法務スタッフの拡充を図り,法務担当責任者を務めるLarry Rosen氏の後任としてMark Radcliffe氏を指名した。新たに法務部門にディレクターという職を用意し,Laura Majerus氏を任命した。Rosen氏は,ライセンス問題に関して引き続きOSIに助言を与えるという。

 同団体によれば,オープンソース・ソフトウエアの人気が高まるにつれ,オープンソースのライセンス数も増加している。同時に,法律関連の問題やオープンソースの定義に関する混乱が生じるようになった。

 新しい会長であるRuss Nelson氏は,「オープンソース・コミュニティには,大規模な企業による干渉,増加を続けるユーザーからの期待など,大きなストレスがかかっている。これらの問題は,OSIが軽減できることである」とコメントしている。

 OSIは,オープンソース・ライセンスが基準を満たしている場合に承認を与える団体。LinuxからWebブラウザのFirefoxまで何千という製品がこのオープンソース・ライセンスを利用している。

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