米Harvard Medical SchoolのCIOであるJohn D. Halamka氏は,自分の体内に皮下埋め込み用無線ICタグ(RFID)「VeriChip」を入れた。同RFIDを手がける米VeriChipが米国時間1月21日に明らかにしたもの。「患者に薦める前に自分で同RFIDを“体験”し,あらゆる面から調べておきたかった」(Halamka氏)

 VeriChipは,人体への埋め込みを想定したRFID。米粒ほどの大きさで,電波を使って外部の装置と情報をやり取りできる。各VeriChipには16桁の識別番号が記録してある。

 VeriChip社の親会社である米Applied Digitalは,同RFIDや読み取り装置,データベースで構成する医療用情報システム「VeriChip Health Information Microtransponder System」を提供している。同システムを使ってVeriChip内の識別番号を読み出し,インターネット経由でデータベースと照合することで,同RFIDを埋め込んだ人の医療情報などが取り出せる。

 Halamka氏は,「埋め込みは15分でできるので,処置は外来で済む」と述べる。「痛みや傷は残らず,埋め込んだことは触ってもわからない」(同氏)。埋め込み後,同氏は数回登山を行った。ニューハンプシャー州ワシントン山の華氏-20度(摂氏約-29度),標高6000フィート(約1829m)という環境でもまったく影響を受けなかったという。

 読み取り精度の評価も行い,「最大5インチ(約127mm)離れても100%正しく識別番号を読み出せた」(同氏)とする。

 同RFIDの用途として,同氏は(1)意識不明の患者の身元確認,(2)患者識別の確実化による医療過誤の低減,(3)投薬時の患者/薬の確認を想定している。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,2004年7月時点で,VeriChip社は同RFIDを累計7000個販売し,約1000人が体に埋め込んだという。

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