米Microsoftは,小売業界における音声認識技術に関して米ニューヨーク州にて開催されている全米小売業協会の年次総会兼展示会「National Retail Federation (NRF) Annual Convention & Expo」において,米国時間1月17日にデモを行なった。

 同社によれば,小売り業者は,音声アプリケーション・サーバー「Microsoft Speech Server 2004」により,既存のIT投資を利用して接客,内部運営の領域における問題の解消が可能になるという。同製品は,「Windows Server System」の一部として提供され,小売り業者のコスト削減,従業員の生産性の向上,新しいサービスの導入,顧客満足度の向上を支援する。

 同社Speech Server製品グループのマーケティング・ディレクタであるJames Mastan氏は,「Microsoft社は,ソフトウエアを通じて小売り業者が事業目的を達成するのを支援する。音声認識技術は,小売り企業が消費者のショッピング経験に導入し,バリュー・チェーンを通じて効率性を向上させるために必要不可欠な技術であると考えている」と説明する。

 Speech Serverは,中小規模用の「Standard Edition」と,大規模用の「Enterprise Edition」が用意されており,エンタプライズ級の音声認識エンジン,テレフォニ・プラットフォーム,音声ブラウザ,テキスト読み上げエンジンを統合したプラットフォームを提供する。

 DTMF(プッシュホンのトーン信号)入力,スピーチ+DTMF,マルチモーダル・アプリケーションに対応。CTI(Computer Telephony Integration),PBX,テレフォニ・ネットワーク,ASP.NET,Windows Server 2003との統合をサポートする。スピーチ開発ツールを含む,アプリケーション設計,コーディング,デバッギング,調整ツールは,Visual Studio .NET 2003に統合される。

 管理機能としては,管理コンソール「Microsoft Management Console」,「Windows Management Instrumentation」,パフォーマンスとイベントのモニタリング,アプリケーション導入ウィザードなどを提供する。また,ビジネス分析,技術アプリケーション,調整分析などをレポートする。

 Microsoft社パートナも小売り業界のニーズに合わせて設計した機能を提供するために同社と協調している。

 たとえば,小売り業者のITヘルプ・デスクへのコール数のうち,パスワードの再設定に関するものは,最高で全体の40%を占めているという。同技術により,ユーザーが電話を利用して直ちにパスワードの再設定ができるようになれば,スタッフが対応しなければならないコール数が減少して,IT運営コストを大幅に縮小できる。また,ITスタッフは,より付加価値や優先順位の高いプロジェクトに注力できるようになるという。

 多くの小売り業者は,音声認識技術とMicrosoft Speech Server 2004を利用して,コール・センターのインフラを強化したり,自動音声対応システムに価値の低いコールを転送することにより,コスト削減が期待できるという。それ以外にも,顧客によるセルフ・サービス,店内における製品の場所検索,支店検索,注文,注文状況/トラッキング,アンケート,払い戻しといった顧客経験を改善するために,多くの業界パートナが,小売業界向けのアプリケーションを提供している。

 前週,同製品は,米Frost & Sullivanから「2005 Enterprise Infrastructure Product of the Year Award」が与えられている。

 Speech Serverの評価キットは,同社のWWWサイトから無償で「Retail Evaluation Kit」を入手可能となっている。

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