テキサス州検事総長が,テキサス州立大学の学生を含む男性2人を違法なスパム送信行為で提訴したことを,米国時間1月13日に明らかにした。同州では初めてのスパム関連訴訟となる。

 訴えられた2人は,ネバダ州で登記した三つの会社を経営し,スパム・メール送信を行っていた疑い。スパム監視団体のSpamHaus.orgは,同社を世界ワースト4のスパム業者にランク付けしている。

 2人は,2002年にPayPerAction社を設立し,250種類以上の架空社名を使って,インターネット・ユーザーにスパム・メールを大量送信していた。宣伝メールであることを件名に明記せず,受信者向けの特定情報であるようにみせかけて,抵当融資借り換えサービスなどのスパム・メールを送りつけたほか,プライバシ保護されるという言葉を信じたユーザーが送った個人情報を1件あたり最大28ドルで他社に売ったという。

 この訴訟で原告側は2人に対し,スパム対策(CAN-SPAM)法に基づき1件の違法行為につき250ドル(総額は最大200万ドル)の罰金を要求する。加えて,電子メールおよび勧誘に関する州法(Texas Electronic Mail and Solicitation Act)に基づき迷惑メール1件あたり最大10ドルまたは1日あたり最大2万5000ドル,詐欺的取引慣行に関する州法(Texas Deceptive Trade Practices Act)に基づき違法行為1件あたり最大2万ドルの請求も検討している。

 テキサス州検事総長によると,今回のスパム送信者の身元割り出しには,インターネット・サービス・プロバイダや米連邦取引委員会(FTC)などが協力した。また,被害者であるオースチン在住の米Microsoft社員も「おとり」電子メール・アカウントを設定するなどして捜査に貢献した。米メディアの報道(CNET News.com)によれば,Microsoft社のおとりアカウントでは2万4000通のスパム・メールを収集した。

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