米Frost&Sullivanは,欧州におけるIP VPN(Internet Protocol Virtual Private Network)市場を調査した結果を英国時間12月21日に発表した。それによれば,通信業界は,通信サービスに対する需要の低下,価格低下の圧力増加,競争の激化などの要因により不調に見舞われる中でIP VPNサービスは2003~2004年にかけて大幅に成長している。

 同社の発表によれば,2003年の欧州におけるIP VPNサービス市場は27億3000万ユーロだった。同社は,2008年までには85億6000万ユーロに達すると予測している。それまでに,およそ70%がIP VPNソリューションを実装するとみている。

 同社によれば,IP VPN技術は,試用段階を経て信頼を獲得したため,現在導入が急速に進んでいる。IP VPNの普及をけん引する主な要因は,同技術の利用可能な範囲が挙げられている。企業は,同技術により世界規模で支社,モバイル・ワーカーをシームレスにつなぐことが可能になる。

 また,従来のWAN技術と比べて柔軟性,拡張性,コスト効率も優れていることも同技術が導入される要因となっているという。中小企業は,コストに対する意識が高く,QoSにはそれほどこだわらない。そのため,同技術は,中小企業において同技術の普及が進むと予想される。

 その他の要因としては,IPプロバイダがIP VPNの可能性を認識したこと,また企業のIP VPNへの移行が挙げられている。IP VPNサービスのセキュリティも大幅に向上し,プライベート・ネットワークのレベルに近づいていることも同技術導入の促進につながっている。

 IP VPNがフレーム・リレーやATMの完全に置き換えられるか否かは疑問視されているが,Frost & Sullivan社は,2004~2008年までの予測される期間に関して,同市場は成長を続けると考えている。2004年においてIP VPNは急成長のサービスとなり,売上高を40%増加させた。売上高の成長率は,2005~2006年がもっとも高くなると考えられている。

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