「2010年の世界PC台数は現在の約2倍に，新興市場の増加が顕著」，米調査

早坂利之

2004.12.18

　米Forrester Researchが，世界パソコン市場に関する調査結果を米国時間12月14日に発表した。それによると，2010年末には全世界で使用されるパソコンの台数が13億台近くに達し，現在の5億7500億台に比べ2倍以上になるという。増加分のほとんどは，中国，ロシア，インドなどの新興市場が占める。

　新興市場では，2010年までにパソコンの使用台数が5億6600万台増える。2003年時点の使用台数は7500万台で，年平均成長率は31％となる。一方，米国，欧州，アジア太平洋地域の成熟市場は伸び悩み，増加台数は1億5000万台にとどまる。

　Forrester社は，主な新興市場の2010年までの状況を以下のように予測する

・中国：パソコン・ユーザー数が1億7800万人増加する

・インド：パソコン・ユーザー数が8000万人増加する。現在のところパソコン普及率は世界最低レベルだが，年平均37％のペースで拡大する

・インドネシア：パソコン・ユーザー数が4000万人増加する。増加率は年平均40％

・メキシコ：普及率は46％になり，新興市場16カ国のなかで最も高くなる

　同社は，「今後パソコン市場では，米Dellや米Hewlett-Packard（HP）などの世界的な大手メーカーと新興市場の現地メーカーとのシェア争いが激しくなり，大きな転換期を迎え，価格が普及の鍵になる」と見込む。

　「欧米パソコン・メーカーが現在販売している製品は，長期的には新興市場でシェアを獲得できないだろう。中国のLenovo Group（聯想集団）やロシアのAquariusといった現地メーカーが，各市場により適したフォーム・ファクタ，価格基準，アプリケーションを設定し，最終的なシェア争いの勝者になる」（Forrester社上級アナリストのSimon Yates氏）

　そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・新興市場では，Windowsの普及が難しく，Linuxのシェアが多くなる

・通信インフラは，有線方式よりも，WiMAXや第3世代GSMネットワークなどの無線方式が広まる

　調査対象とした新興市場は，中国，インド，インドネシア，ブラジル，パキスタン，ロシア，ナイジェリア，バングラディッシュ，メキシコ，フィリピン，ベトナム，エジプト，エチオピア，トルコ，イラン，タイの16カ国。