アンチウイルス・ベンダー各社が,「Zafi」ワームの亜種「W32/Zafi.d@MM(Zafi.d)」の出現について米国時間12月14日に警告を発した。

 米McAfeeのウイルス対策技術研究機関であるMcAfee Anti-Virus Emergency Response Team(AVERT)は,Zafi.dの危険度評価を「中」とした。欧州で同日初めて検出されたのに続き,ドイツ,イタリア,スペインを中心に企業/家庭ユーザーのあいだで感染が広がっているという。

 またスペインのPanda Softwareは,18カ国以上から感染の報告を受けた。「同ワームは,クリスマス・カードのようなメッセージが書かれた電子メールを介して感染を試みる。間もなくクリスマスということもあり,(クリスマス・カードを偽装する)ソーシャル・エンジニアリング手法が感染拡大につながってしまった」(Panda Software社)

 Zafi.dは,大量メール送信型のワーム。自身のSMTPエンジンを使用してメッセージを送信する。差出人のアドレスは偽装する。さらに,ローカル・システム上のフォルダ(フォルダ名に「share」「upload」「music」を含む)に自身をコピーして,PtoP経由で感染を試みる。

 実行されると無作為な名前にそれぞれexeおよびdll拡張子を持つファイルを「%windir%\system32」フォルダに作成して自身をコピーする。レジストリ・キーを追加することで,システム起動のたびにファイルが実行されるように仕組む。Cドライブを検索して「share」「upload」「music」といった文字列を含むフォルダに自身を「winamp 5.7 new!.exe」または「ICQ 2005a new!.exe」としてコピーする。

 アンチ・ウイルス/ファイアウオール・ソフトウエアがあるフォルダを検索して,見つけるとその実行ファイルを自身で上書きする。ユーザーが手作業で感染マシン特定やワーム削除することを妨害するため,これらプロセスの終了を試みる。

 電子メールを送信するメール・アドレスは,以下の拡張子を持つファイルから探す。収集したメール・アドレスは,無作為な名前とdll拡張子を使って「system32」フォルダに格納する。

「htm」「wab」「txt」「dbx」「tbb」「asp」「php」「sht」「adb」「mbx」「eml」「pmr」「fpt」「inb」

 同ワームが送信する電子メールの特徴は以下の通り。

・From(発信者):
 偽装アドレス

・Subject(件名):
 さまざまな文章を使う

・Body(本文):
 クリスマス・カードで使う文章を,送信メール・アドレスのトップ・レベル・ドメイン(TLD)に応じた言語で記述する。たとえば,comドメインの場合は英語を,deドメインの場合はドイツ語となる。これまでにPanda Software社は,スペイン語,ドイツ語,ハンガリー語,フィンランド語,ロシア語,イタリア語,ポーランド語,デンマーク語,ノルウェー語,フランス語,スウェーデン語のメッセージを検出した。

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[発表資料(McAfee社)]
[発表資料(Panda Software社)]