オープンソースのグリッド・インフラ構築ソフトウエア「Globus Toolkit」を作成した主要メンバーが,新会社を立ち上げた。名称はUniva。Globus技術向けの商用ソフトウエア,専門サービス,技術サポートを手がける。
設立メンバーは,Globus Toolkitの設計で指揮をとったSteve Tuecke氏,グリッド・コンピューティングの論文「The Grid: Blueprint for a New Computing Infrastructure」の共同執筆者であるIan Foster氏,Globus Toolkitの共同作成者であるCarl Kesselman氏。
新会社CEOにはTuecke氏が就任する。Foster氏はチーフ・オープンソース・ストラテジストに,Kesselman氏はチーフ・サイエンティストに就く。また,COOとして,シリコンバレーで多数の起業に関わったRich Miller氏が参加する。
Globus Toolkitは,1990年代半ばに開発されたオープンソース・ソフトウエアで,コンピュータおよびデータ・リソースを,世界中の研究期間で共有できるようにするもの。Univa社は,「急速に変化するビジネス・ニーズに対応するために,Globus技術ベースのグリッド・インフラを導入する企業を支援する」としている。
Univa社によると, Globusソフトウエアは,米国の大規模グリッド・コンピューティング構築プロジェクト「TeraGrid」,地震工学研究プロジェクト「NEES(Network for Earthquake Engineering Simulation)」,気象研究プロジェクト「Earth System Grid」,大規模ハドロン素粒子加速器 (LHC) 研究用グリッド・コンピューティング・プロジェクト「LHC Computing Grid」をはじめ,欧州のグリッド・プロジェクトなどに使用されている。また,富士通,米Hewlett-Packard(HP),日立製作所,米IBM,NEC,米Sun Microsystemsといった主要IT企業が,Globusソフトウエアに対応したグリッド戦略を進めているという。
Univa社および同社設立メンバーは,今後も,Global Grid Forum(GGF),Enterprise Grid Alliance(EGA),OASISなどの標準規格推進団体に参加する。
ちなみに米Insight Researchの調査によると,グリッド技術およびサービスの世界市場は,2008年に50億ドル規模に達するという。
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