米Oracleの買収提案を米PeopleSoftが受け入れた。両社が米国時間12月13日に,最終合意書に達したことを明らかにした。両社の役員会はすでに承認済みだという。買収総額は約103億ドル。取引は2005年1月に完了する予定。

 Oracle社は,PeopleSoft社の株式1株につき,現金26.50ドルで買い取る。Oracle社は「最良にして最後の提案」として,1株当たり24ドルの買付金額を提示していたが,PeopleSoft社役員会は「提示額は不十分で,当社の真の価値を反映していない」として拒否。今回,Oracle社が買付金額を引き上げたため,PeopleSoft社が提案を受け入れた。

 「Oracle社の新しい提示額は,当社株主に正当な価値をもたらすものであり,10月の提示額(24ドル)と比べ大幅な引き上げを反映したものだと判断した」(PeopleSoft社トランザクション委員会議長のA. George "Skip" Battle氏)

 Oracle社CEOのLarry Ellison氏は,「PeopleSoft社買収により,当社はいっそう拡大し,いっそう勢いを増す」と述べた。「直近の四半期に,当社のアプリケーション事業は57%の成長をみせた。この買収が,当事業をさらに大きく,そして強くする」(同氏)

 Oracle社によると,12月10日現在,同社が取得してるPeopleSoft社株式は1億2060万93株という。同社はニューヨーク時間12月28日24時まで公開買付を実施する。

 Oracle社は,PeopleSoft社買収による収益増加(調整後プロフォルマ・ベース)を,2005会計年度第4四半期に1株当たり1セント,2006会計年度通期に1株当たり約2セントと予測しており,2007会計年度通期にはさらに増加すると見込んでいる。

 なお,両社間で争われていた裁判については,取引が完了したのち,それぞれ訴訟を取り下げる。

 米メディア(CNET News.com)にOracle社社長のChuck Phillips氏が伝えた情報よると,12月10日の夜,PeopleSoft社から連絡を受け,週末にかけて具体的な買付金額について協議したという。「2003年6月にOracle社が公開買付を開始して以来,直接交渉したのは初めて」(Oracle社の代理弁護士を務める米Davis, Polk & WardwellのMichael Carroll氏)だった。

 また上記メディアの別の報道(CNET News.com)によれば,最終提示金額の26.50ドルは12月10日のPeopleSoft社株の終値を10%上回る。Ellison氏は,「PeopleSoft社のメンテナンス事業の売上高は,当社が予測していたより好調で,同事業の支出は,当社の予測を下回っていた。つまり,当社が考えていたより,PeopleSoft社のメンテナンス事業は収益性が高いということが分かった」と説明している。Oracle社は,交渉の段階で,PeopleSoft社の財務帳簿を目にする機会があった。「帳簿を見るまでは,(PeopleSoft社の価値を)控えめに見積もるほかなかった」(同氏)

 PeopleSoft社製品を使用している顧客にとって気になるのは,今後のサポートだ。米メディア(internetnews.com)の掲載記事で,米Enterprise Applications Consultingの主席アナリストであるJoshua Greenbaum氏は,ユーザーに「あわてないように」と述べている。「現時点では,Oracle社が確約している10年間のサポート(over support)がどういうものか見守るべきだ。Oracle社は,見込み通りの経営が維持できる限り,PeopleSoft社製品の顧客ベースに尽くしてくれる可能性がある」(同氏)

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[発表資料(Oracle社のプレス・リリース)]
[発表資料(PeopleSoft社のプレス・リリース)]