米Sprintは,第3世代(3G)携帯電話ネットワークを拡充して高速無線データ・サービスを提供するため,米Lucent Technologies,米Motorola,カナダNortel Networksとそれぞれ複数年の無線サービス・インフラ拡張契約を結んだ。Sprint社が米国時間12月7日に明らかにしたもの。これによりSprint社は,基地局向けスイッチング/無線通信ハードウエアおよびソフトウエアの新規導入,処理容量の増強,EV-DO無線高速データ・ネットワークの展開を図る。さらに,1xEVへのアップグレードも計画している。契約規模は,総額で約30億ドルという。

 Sprint社は,2005年中に米国の主要都市で最大通信速度2.4MbpsのEV-DO無線データ・サービスの提供を計画している(Sprint社の発表資料)。「3社に支払う30億ドルのうち約10億ドルを使って既存ネットワークをEV-DO対応にアップグレードし,現在のネットワークより最大で10倍高速な無線端末向けデータ・サービス提供を目指す」(Sprint社)

 Sprint社の無線ネットワークは米国全土で単一の技術を用いて構築してあるため,EV-DOへの移行は比較的容易という。基地局に新しいチャネル・カードと無線装置を取り付けるだけで済み,既存インフラを交換する必要はない。

 3社と結んだ契約の概要は以下の通り。

・Lucent社:
 Lucent社が供給した既存基地局への無線装置取り付け,CDMA2000 1xEV-DO展開への協力などを行う。さらに,VoIPやマルチメディア・サービスを実現するためプラットフォーム「IP Multimedia Subsystem(IMS)」も提供する。契約の期間は3年以上,金額は15億ドル以上

・Motorola社:
 既存のCDMAインフラ供給契約の期限を2006年末に延長するとともに,CDMA2000 1x基地局用の装置と関連サービス,CDMA2000 1xEV-DO向けソリューションを提供する。契約金額は4億5000万ドル

・Nortel社:
 基地局,制御/スイッチング・プラットフォーム,「Packet Data Service Node 16000」,CDMA2000 1xEV-DO対応装置などを提供し,CDMAインフラを強化する。契約期間は3年

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[発表資料(Sprint社)]
[発表資料(Lucent社)]
[発表資料(Motorola社)]