米Frost&Sullivanは,ITのオフショア・アウトソーシングに関する調査結果を英国時間12月2日に発表した。それによると,2002~2004年における同市場の年平均成長率(CAGR)は,5.9%となる見込み。

 調査は,主にフランス,ドイツ,香港(中国),日本,米国,英国におけるIT意志決定者のアンケートを含む14カ国から得た情報を分析したもの。
 
 2004年に,フランス,ドイツ,香港,日本,英国から海外に流出するIT雇用は82万6540人にのぼる見込みで,これは516億ドルに相当する。特に,米国と日本が,オフショア・アウトソーシングの主要実施国となっている。欧州でのオフショア・アウトソーシングは,ドイツが首位で,英国とフランスがこれに続く。

 オフショア・アウトソーシングが進む理由は,低コスト地域の会社の多くが,高いCMM(能力成熟度モデル)レベルを有することにある。さらに同地域の政府が,IT産業の振興を目的とした後援プログラムや優遇税制措置を提供していることも,オフショア・アウトソーシングに拍車をかけている。

 現在,低コスト地域へのオフショア・アウトソーシングは,業界で生き抜くために必要不可欠とみなされている。低コストでスキルの高い人材を調整できるので,企業は必要に応じて人材調整が可能となる。「多国籍企業は,利益が危うくなると,オフショアの子会社を利用して,法の目をくぐることができる」(Frost & Sullivan社産業アナリストのJarad Carleton氏)

 同社が調査した低コストの地域には,インド,中国,ブラジル,メキシコ,マレーシア,ポーランド,ルーマニア,ロシアなどが含まれる。世界最大のオフショア・アウトソーシング先となっているのはインドで,中国がこれに続く。中国は,政府がITを重視したさまざまな政策を実施していることから,過去10年
で,インドとの差を狭めている。

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