米IBMなど15社が,Power Architecture技術ベースのプロセサやシステムに関するオープン標準組織「Power.org」を設立すると,中国で現地時間12月2日に発表した。同組織は,まずPower Architecture対応のバス・アーキテクチャと大容量サーバーという2つの分野について,オープンな仕様を作成していく。

 同組織の設立に参加する企業は以下の15社。米Applied Micro Circuits,フランスBull,米Cadence Design Systems,シンガポールChartered Semiconductor Manufacturing,中国Culturecom,IBM社,米Jabil Circuit,米Novell,米Red Hat,ソニー,中国Shanghai Belling,米Synopsys,フランスThales,カナダTundra Semiconductor,台湾Wistron。

 Power.orgは,既に利用可能な複数の仕様を用意しており,Powerプロセサに適用できる新たなデバイスやコンポーネントの開発促進を支援する。

 当初取り組む重点分野の1つであるバス・アーキテクチャにより,異なるコンポーネントを同一のシステム・オン・チップ(SoC)上で動作させることが可能となる。さらに,バス・アーキテクチャを標準化する結果,複数ベンダーの技術の統合も容易になるという。もう一方の重点分野であるオープンな大容量サーバー仕様は,低価格Powerプロセサを搭載するサーバーの普及に貢献するという。

 「オープン標準は,これまで幾度も顧客の選択肢を増やし,統合の障壁を取り除いてきた。Power.orgがPower Architecture技術にオープン標準を持ち込むことで,JavaやLinuxなどによってソフトウエアの世界で起きたのと同じ変化がハードウエアにも起こり,それが加速していくだろう」(IBM社システム&技術グループ開発担当副社長のRod Adkins氏)

 またIBM社は同日,中国の上海にある研究施設Power Architecture Technology Centerの技術者を150人増員する計画を発表した。さらに,Shanghai Belling社とのPower ArchitectureベースLSI開発に関するライセンス契約の締結や,液浸リソグラフィで論理合成可能なPower Architectureプロセサ・コアの製造に「業界で初めて」(IBM社)成功したことも明らかにした。

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[発表資料(Power.org設立)]
[発表資料(Power Architecture Technology Centerの増員など)]