米Gartnerは,2004年第3四半期の世界携帯電話市場に関する調査結果を,英国時間12月1日に発表した。それによると,当期の販売台数は1億6700万台で,前年同期と比べ26%増加した。

 Gartner社Mobile Terminals Research担当アナリストのCarolina Milanesi氏によると,ホリデー・シーズンの需要を控え,第3四半期は横ばいになるのが一般的だという。「しかし今年は,日本を除くすべての地域で,前年同期と比べ販売台数が成長した」(同氏)

 フィンランドのNokiaが2四半期ぶりに,30%を上回る市場シェアを獲得した。Gartner社上級アナリストのBen Wood氏は,「今年,Nokia社は出足が不調だったため,再び30%ラインを超えたことは精神的に大きな励みとなるだろう」と説明する。「この勢いを維持したまま,遅れを取っているCDMA市場に対処することが,Nokia社の今後の課題となる」(同氏)

■2004年第3四半期における世界携帯電話販売台数(単位:1000台)

                      2004年Q3   市場      2003年Q3     市場
                      販売台数  シェア    販売台数     シェア
メーカー                        (%)                (%)

Nokia                 51,694.9    30.9     45,380.8     34.2
Samsung               22,981.2    13.8     14,837.4     11.2
Motorola              22,393.0    13.4     19,484.3     14.7
Siemens               12,758.2     7.6     12,110.4      9.1
LG Electronics        11,141.8     6.7      7,081.9      5.3
Sony Ericsson         10,683.2     6.4      7,065.1      5.3
その他                35,417.4    21.2     26,883.8     20.2
合計                 167,069.7   100.0    132,843.7    100.0

注記:数字はiDEN対応電話機とWLL製品を含むが,ODM,OEM製品は含まない。

出典:Gartner社のDataquest(2004年11月)

 韓国のSamsungは,米Motorolaを抜いて2位の座を獲得した。米メディア(CNET News.com)によると,折りたたみ可能なカメラ付きモデルなど,高度な機能を備えた機種が消費者の人気をつかんだ。また,同社は中国市場に低価格モデルも投入した。Motorola社は3位に甘んじたものの,iDEN市場で強味を発揮して,北米でリードを保っている。Wood氏は,「Samsung社が2位に浮上できたのは,さまざまな技術に基づいた広範な製品を提供し,世界各地で販売台数を伸ばしたため」と説明する。

 ドイツのSiemensは,不調だった第2四半期から回復し,市場シェアが7.6%を占めた。北米では市場シェアをほぼ倍増するなど,米大陸で好調だった。

 地域別にみると,西欧や北米などの成熟市場では,新機種の投入と低価格化が買い替え需要を後押しした。北米は,前年同期比で22.6%伸びるなど,好調な四半期となった。「携帯電話事業者が新規ユーザーの獲得に向けて,ハンドセットやサービスのプロモーションを積極的に行った他,新機種の登場が奏功した」(同社)

 アジア太平洋地域の成長は,インド,フィリピン,中国などがけん引した。事業者は,携帯電話買い替えの際に,事業者に関わらず同一番号を保持できる番号ポータビリティ制度が整っていない国々で,SIMカードの無償交換を提供して,買い替え需要を喚起した。また香港やオーストラリアでは,WCDMA対応携帯電話に補助金を提供するなど,WCDMAの普及を後押しした。

 一方,日本の販売台数は,前年同期と比べ12.8%も減少した。Gartner社によると,「昨年の第3四半期は,カメラ付き携帯電話の需要が販売台数をピークに押し上げていた」。ベンダーは,2G携帯電話と比べ利益率の低い3G携帯電話に,苦戦を強いられているという。

◎関連記事
「2004年Q3の世界携帯電話市場,メーカー首位はNokiaが維持」,米調査 
「2004年Q2の世界携帯電話販売台数は,前年同期比35%増」,米Gartner調査
2004年Q1の世界携帯電話販売台数,前年同期比34%増で「Q1としては過去最高」
「2006年に西欧で販売される携帯電話の66%はカメラ内蔵」,米Gartnerの調査
「カメラ付き携帯電話市場は急成長するが,長期的な成功は顧客満足度次第」,米IDC
「携帯電話ユーザーの満足度が向上,機能性とデザインの評価が高まる」,米調査
「携帯電話利用者の半数以上がTV付き携帯電話に興味なし」,米Lyra Researchの調査
第3世代携帯電話3社3様の戦略――押し寄せる世代交代の波

[発表資料へ]