米ABI Researchは米国時間11月30日,「テレビ放送を受信できる携帯電話機がいずれ普及するだろう」などとする調査結果を発表した。

 ABI Research社Semiconductor Research部門担当アナリストのAlan Varghese氏によると,携帯電話事業者は当初,テレビ放送の受信サービスに積極的に取り組んでいなかったという。「ユーザー1人当たりの平均売上高(ARPU)への貢献度が小さいほか,バッテリの持続時間や,より収益性の高い音声/データ通信からユーザーを奪う可能性など,さまざまな懸念事項があったため」(同氏)

 しかし最近は,短時間のテレビ放送やインタラクティブTVを携帯電話ネットワークで流すなど,テレビ放送が持つ潜在性に関心を示す携帯電話事業者が現れている。また,携帯電話ベンダーやチップ・メーカーも,テレビ放送受信を視野にいれた製品開発を行っている。

 既に,NEC,東芝,フィンランドのNokia,韓国のSamsungがテレビ・チューナ内蔵の携帯電話機をリリースしている。また,米Texas Instrumentsも10月に,テレビ信号処理に必要なすべての機能をシングル・チップに集積したLSIを開発中であることを発表した(関連記事)。

 「テレビ放送を見る場合,画面が小さな携帯電話機より,普通のテレビを選ぶのが当たり前だ。しかし,駅や空港やレストランなどのちょっとした空き時間にテレビ放送をみる方法として,携帯電話機が普及する日は遠くない」(Varghese氏)

◎関連記事
フィンランドNokia,モバイルTV規格DVB-H対応端末を2006年リリースへ 
J-フォンのテレビ・チューナー内蔵携帯電話機,12月にも正式発表
地デジ受信ケータイに燃料電池,近未来のサービス・技術が競演
KDDIが地デジ対応携帯電話,NHKとの共同研究の成果を披露
決断を迫られる総務省――携帯向けデジタル放送でテレビとラジオが競合
地上デジタル放送を見られる携帯電話の仕組み
テレビ向けと携帯電話向け地上デジタル放送の違い
「携帯電話利用者の半数以上がTV付き携帯電話に興味なし」,米Lyra Researchの調査

[発表資料へ]