米In-Stat/MDRが,ネットワーク対応IP VPNサービス向け機器市場に関する調査結果を米国時間11月23日に発表した。それによると,2003年における世界市場の規模は2億6700万ドルだったという。これらの機器のうち,エッジ・ルーターの売上高が全体の51%を占め,マルチサービス・スイッチとIPサービス・スイッチがほぼ同じシェアを獲得した。

 顧客宅内装置(CPE)対応VPNサービスがCPEで通信のトンネリングを行うのに対し,ネットワーク対応IP VPNサービスはVPN機能をネットワークのエッジ部分で実現する。「ほとんどの大手サービス・プロバイダが,企業顧客に何らかのネットワーク対応IP VPNサービスを提供している」(In-Stat/MDR社)

 In-Stat/MDR社上級アナリストのHenry Goldberg氏は,「ネットワーク対応IP VPNサービスだとエッジPOP部分の機器から複数の顧客にサービスを提供できるので,サービス・プロバイダは“規模の経済性”のメリットが得られ,設定/管理/メンテナンスのコストも大幅に削減できる」と述べる。

 そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・サービス・プロバイダは中小企業や(大企業などの)支社に対し,従来のリース回線を低コストで代替する手段として,DSLアクセス回線を提供している

・ネットワーク対応IP VPNサービスへの接続にDSLアクセス回線を使用しているユーザーは,ブロードバンド加入者管理サービスを求めている。多くのベンダーが,VPNサービスと同じプラットフォームで同サービスを提供している

・外部業務委託する際のセキュリティ確保を必要とする企業が増えるため,エッジ・ルーターやIPサービス・スイッチなどを扱うベンダーは,IP VPNサービスに加える形でセキュリティ・サービスを提供しつつある。装置ベンダーのなかには,レイヤー3または2のVPNサービス上で,企業サイトにIPSecやSSLクライアントから遠隔接続するためのゲートウエイ・サービスを提供しているところもある

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