通信サービスを手がけるフランスのEquantは,多国籍企業によるITアウトソーシングについて調査した結果を,現地時間11月24日に発表した。それによると,多国籍企業が最も頻繁にアウトソーシングしているのはネットワーク/通信インフラで,全体の50%を占めた。次いで,セキュリティ・サービス(32%)とサーバー管理(32%)が多かった。

 調査は,2004年第3四半期にEquant社が米IDCに依頼して行ったもの。欧州,北米,極東地域における多国籍企業300社以上のCIOとCFOを対象に,インタビューを実施した。

 IT業務の選択的アウトソーシングについて尋ねたところ,CIOの64%,CFOの77%が肯定的だった。しかし,特定のIT業務すべてをアウトソーシングすることに抵抗を感じているCIOやCFOは,全体の4分の3以上に達した。同社によると,「リスク管理に対する懸念から」という。

 ネットワーク/通信インフラをアウトソーシングする場合,電気通信分野の専門家に発注すると回答したCIOは54%だった。その他の発注先としては,IT全般を請け負う企業(32%)や地元のアウトソーシング・プロバイダ(14%)が挙げられた。

 何らかのIT業務をアウトソーシングした経験がある企業は72%に達した。アウトソーシングするメリットとして,CIOの4分の1が,「中核業務に専念できる」と回答した。

 IDC,コンサルティング・ディレクタのDuncan Brown氏は,「多くのCIOは,ITインフラの特定業務をアウトソーシングすることついては割り切っているが,ITインフラやITサービスを丸投げで依頼することには消極的だ」と指摘する。「例えば,多くの回答者は中核業務に集中するために,通信インフラの管理だけを外注することには全く抵抗を感じていない」(同氏)

 また,Equant社Solutions and Services部門担当上級副社長のMichel Picaud氏は,「IT業務を選択的にアウトソーシングするアプローチの一環として,通信インフラのアウトソーシングが増加している」と述べた。

◎関連記事
「中小企業はITサービスに強い関心,ネットワーク関連が人気」,米IDCの調査 
アウトソーシングが破綻する!?アジアとの賃金格差解消が背景
「垂直市場に関する知識と社風が,大手アウトソーシング・ベンダー成功のカギ」,米調査
「CFOの60%以上が,業務プロセスのアウトソーシングを計画中」,米IBM調査より
「米国企業の90%がアウトソーシングを実施,しかし30%は『不満』」,米調査
「オフショア・アウトソーシングは経済の活性化と雇用拡大をもたらす」,米調査
世界ITサービス市場は2008年まで年平均6.9%で成長,「買収による整理統合が続く」
ITサービス企業の景況感はさらにプラスへ IT投資意欲後退の影に不安も

[発表資料へ]