オープンソース・ソフトウエアの開発者であるLinus Torvalds氏(Linux),Michael Widenius氏(MySQLデータベース),Rasmus Lerdorf氏(PHPプログラミング言語)の3名はドイツで現地時間11月23日,欧州におけるソフトウエア特許の合法化に関する欧州連合(EU)ソフトウエア特許指令案に関して,NoSoftwarePatents.comサイトで反対の意を表明した。3氏は同指令案を,「欺まん的かつ危険で,民主的に違法」と非難している。欧州議会は今週,同指令案の法制化に向けて話し合いを行う予定だ。

 3氏は共同声明で,ソフトウエア作成者は著作権法で充分な保護を得ることができ,ソフトウエア特許法は不公正を生む強者のための法律だと述べている。3氏はまた,「同指令案はソフトウエアが特許の対象外だという虚偽の印象を与える一方で,欧州におけるソフトウエアの特許化を合法化する条項が含まれている」と指摘する。

 また3氏は,EU加盟法に準じて今月より新しい投票システムが有効となったため,5月の時点で同指令案を支持していた国々では過半数を獲得できておらず,民主的な合法性に欠けると主張している。

 ここ数週間に,同指令案の賛成派と反対派の間でさまざまな動きが起こっている。ポーランド政府は今週,同指令案を支持しないという立場を明らかにした。米メディア(TechWeb)によると,イタリア,スペイン,ベルギー,オーストリアも反対派に属しているという。一方,米MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏は先週,シンガポールで開催された「Government Leaders Forum」の席上で,アジアの政府関係者に「Linuxは特許侵害訴訟のリスクを抱えている」と述べ,EUのオープンソース支持派を牽制した。

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