フランスのThomsonは,デジタル著作権管理(DRM)技術の米ContentGuardに出資することを現地時間11月22日に発表した。同社への投資を通じて,Thomson社は,米Microsoftと米Time Warner社と提携関係に入る。

 ContentGuard社は,DRMや分散認証に関する技術開発を手がけており,特許技術をライセンス提供している。同社が開発した技術には,デジタル・コンテンツの権限とポリシーを記述する言語、XrML(eXtensible rights Markup Language)などがある。同社の特許技術は,もともとXerox社のPalo Alto Research Center(PARC)が開発したもの。

 Thomson社は,ContentGuard社の議決権株式の33%をMicrosoft社,Time Warner社,米Xeroxから取得することで合意した。Thomson社には,Microsoft社とTime Warner社と同じようにContentGuard社の役員2名を任命する権利が与えられる。

 ContentGuard社との協調により,戦略的投資家である3社は,今回の取り引きにより,相互運用性のあるDRMシステムの開発とDRMをサポートする家電機器の普及促進を狙う。引き続きContentGuard社の知的資産の開発,DRM技術を採用する電子コンテンツ配信の促進を計画している。

 同年4月にMicrosoft社がContentGuard社への投資を拡大して株式の50%を獲得する計画を発表していた。同社は,Time Warner社,ContentGuard社とともに,Xerox社がContentGuard社に対して保持している実質的な所有権を買い取っているが,Xerox社は少数の株式を維持している。

 同年8月,欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は,Microsoft社とTime Warner社のContentGuardへの共同出資がDRMソリューション市場におけるMicrosoft社の独占を招く,または独占状態を強化する可能性があると判断し,本格的な調査を実施していた。同委員会が現地時間8月25日に明らかにした。

 Time Warner社シニア・バイス・プレシデントのRon Grant氏は,「ECがThomson社の参加に前向きな反応を示すことを期待するが,それは今回の取り引きの主な目的ではない」としている。

 ECによる第2段階調査の最終結果は1月6日までに発表される予定。

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