Web関連技術の標準化を進めるWorld Wide Web Consortium(W3C)は,スペインのバルセロナにおいてワークショップ「モバイルWebイニシアティブ」を開催する。W3Cが米国時間11月17日に発表した。同月18~19日に予定されているワークショップでは,「モバイルWeb」アクセスに対する現在の課題と解決方法が論議される。

 W3Cによれば,モバイルWebアクセスは携帯機器からのインターネット・アクセスを実現する重要な要素と考えられている。携帯機器からWeb上の膨大な情報へアクセスできることで,時刻表の確認,製品情報の検索,電子メールのチェック,モバイル・バンキング,出張中の企業ネットワークへのアクセスするなど,生活の多くの場面で有効に利用できるという。

 しかし,携帯機器からのWebアクセスの可能性には,検討の余地があるという。普段パソコンから利用しているWebサイトが携帯機器からアクセスできなかったり,利用できてもパソコンから利用する時のような使い勝手が実現されていないこともある。コンテンツ提供者は,Webアクセス機能を提供するすべての携帯電話とそれらの設定に対応するWeb サイトの構築に問題を抱えているという。

 W3Cが打ち出した今回のイニシアティブは,これらの問題に対処する新しい取り組みを検討するもの。携帯機器からのWebアクセスをパソコンからのWebアクセスと同じように,簡単で使いやすくすることを目的としている。

 この目的を達成するために,同イニシアティブでは,最良事例の文書化,モバイル開発者向けサポート・インフラの提供,Webコンテンツ・プロバイダ向けのトレーニング・プログラムの開催,端末機器からのWebアクセス向け検証サービスと実装試験サービスの作成を予定している。

 これらの活動は,携帯機器(マルチモーダル・インタラクション,モバイル・プロファイル,機器独立性など)を含め,拡張するWebをサポートするWeb標準を開発するというW3Cの取り組みを補完する。

 同ワークショップは,米Hewlett-Packard(HP),仏Orange,英Vodafone,英Volantis の後援によりモバイル通信の業界団体Open Mobile Alliance(OMA)のミーティングとともに開催される。開催当日の発表及び議事録は,ワークショップ終了後にW3CのWWW サイト上で公開される予定。

 W3Cは,XHTML Basic,SMIL Basic,SVG TinyなどのさまざまなモバイルWeb標準を策定するとともにバージョンの更新も行なってきた。しかし,Web制作者やアプリケーション開発者に対する標準技術の教育,標準に準拠しているか否かの適正な審査が遅れていることから,今回のモバイルWebイニシアチブの発足を検討するようになったという。

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