米Microsoftは,国連の教育科学文化の専門機関であるユネスコ(UNESCO)と提携し,開発途上国における情報通信技術(ICT)の普及で協調する。同社がパリ時間11月17日に発表した。

 パリのユネスコ本部において調印式が行なわれ,UNESCOの松浦晃一郎事務局長とMicrosoft社会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクトのBill Gates氏が提携の概要を説明した。提携のもとに,世界の開発途上国特定のニーズに焦点を当てたプログラムで協力するという。

 Microsoft社のBill Gates氏は,「われわれが共有する目標は,教育と技術開発プログラム,コミュニティ・アクセスを通じて,文化と言語の多様性を保存しながらデジタル・インクルージョンの障害を取り除くことにある。技術は,現代社会において不可欠なリソースだが,これに手が届かない人々が何百万人も存在している。われわれは,この状況を変えるために役立ちたいと考えている」とコメントしている。

 具体的には,教師向けに教育現場に効率的にICTを組み込むために必要なトレーニングを提供するとともに,Microsoft社とUNESCOは,カリキュラムとトレーニング・コース開発に必要なリソースを作成する。また,若者に情報通信に接し,情報通信スキルを身につけるための技術センター設置を行なう。

 その他にも,地域言語と文化を保存する技術へのアクセスを提供する手段を模索する。UNESCOはMicrosoft社にコンサルティングを提供し,地元政府との協調を通じて同社のプログラム「Local Language Program」で提供する言語数の増加を支援する。同プログラムは,地元の政府,教育機関などとの協調を通じてデスクトップ・ソフトウエア,ツールをローカル言語で提供することを目標とするもの。

 同日,Microsoft社は,教師,生徒,コミュニティ学習者向けにデザインしたITスキルのトレーニング・カリキュラムを発表した。アラビア語,中国語,日本語を含め,20を超える言語に翻訳された同カリキュラムは,教育コミュニティと共同で開発され,世界の学校機関,コミュニティ技術学習センターに無償で提供される。

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