米Sun Microsystemsが,新OS「Solaris 10 Operating System(OS)」のリリース計画や関連サービスなどを米国時間11月15日に発表した。商業利用でも無料で利用可能とし,サポートなどの有料サービスを別途用意する。SPARC,x86,AMD64,EM64T向けのSolaris 10 OSは,2005年1月31日より無償ダウンロード提供を開始する。

 新OSは600種類以上の新機能を導入した「最も進んだUNIX OS」(Sun社)という。特定のハードウエア・ベンダーに依存せず,米Dell,富士通,富士通と独Siemensの合弁子会社Fujitsu Siemens Computers,米IBM,米Hewlett-Packardなどが提供する250種類以上のプラットフォームで動作する。

 「最新鋭のデータセンターの負荷に耐えるよう設計しており,当社がこれまでリリースしたOSのなかで最も速度が速い。Webサーバーの処理能力を比べると,SPARCおよびx86の両環境でSolaris 9より40%以上高速だった。また,データセンターの稼働率が,以前の20%から80%以上に向上する」(同社)

 新版は「Linux Application Environment」(開発コード名は「Project Janus」)と呼ぶ機能により,Linuxアプリケーションをバイナリ・コードのまま未変更で実行することが可能になった。Linuxコードをほかのプラットフォーム向けに内部的に加工するLinuxエミュレーションと異なり,ネイティブ実行できる。「これまでSolaris OSで利用できなかったLinux対応の社内開発アプリケーションやISVのアプリケーションを活用できるようになる」(同社)

 新たに128ビット・ファイル・システム(FS)「ZFS」を採用したことで,現在の64ビットFSに比べ160億倍の容量を提供できる。さらに,問題を分析および復旧する診断ツール「DTrace」,8000個以上のパーティションを設定可能な「Solaris Containers」機能,自己修復機能「Predictive Self Healing」なども備える。

 旧OSとの互換性も維持しており,7年前にリリースしたSolaris 2.6用のコードも実行可能。

 同社は,Solaris 10 OS自体は無償提供し,サポート・サービスなどで料金を徴収する。商業利用の場合でも,セキュリティ修正やアップデータのダウンロードを含め,ユーザー登録すれば無償利用が可能。サポート/マイグレーション/教育などのサービスは有料となる。同社は,以下の3種類のサービスを用意する。

・Basic Service:
 すべてのSolaris 10 OS用アップデート/アップグレード/バグ修正,90日間の導入/設定サポート,オンライン・サポートが利用可能。1プロセサ当たり年間120ドル

・Standard Service:
 Basic Serviceのサービスに加え,週5日/12時間のサポート,Web学習コース1講座,オプションのトレーニング・コースが利用可能。1プロセサ当たり年間240ドル

・Premium Service:
 Standard Serviceのサービスに加え,週5日/12時間のサポート,その他技術/教育サービスが利用可能。1プロセサ当たり年間360ドル

 「ユーザーは,商業利用でもSolaris 10 OSを無料で利用できる。(有料の)サービスを組み合わせても,代表的なLinuxディストリビューションに比べ,経費を最大40%減らせる」(同社)

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