ドメイン名やIPアドレスの管理を行っている非営利組織のICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)が,ドメイン名移動に関する新ポリシーの適用を米国時間11月12日に開始した。ICANNが同日明らかにしたもの。同ポリシーは,あるレジストラの管理下にあるドメイン名を別のレジストラに移す際の手続きについて定めている。

 同ポリシーについて,ICANNは「多くの国で実施されている電話番号ポータビリティ制度のようなもの」と説明する。「ドメイン名登録者は,最適なサービスと価格を提供している(ドメイン名の登録窓口となる)レジストラを選べるようになる」(ICANN)

 同ポリシーは,ドメイン名の悪用防止や,移動作業に関するユーザー情報を明確化する手順について,標準的で容易な手続きも規定する。これによりレジストラは,ドメイン名移動を実際に行う前に,登録者から同意書を得ることが必要となる。さらにレジストラは,移動時に登録者の身元を確認しなければならない。

 登録者に対しては,ドメインを“ロック”して移動できなくする仕組みを設ける。レジストラ間の紛争を解決するために,いったん実行した移動を簡単にもとに戻すルールも規定した。

 「新しいポリシーにより,レジストラと(データベース化したドメイン情報をDNSサーバーで運用する)レジストリ業者の機能を分けることができ,一般トップ・レベル・ドメイン(gTLD)市場の競争が増して登録者の利益につながる。ドメイン名登録や維持にかかわるコストを,最大80%削減できるだろう」(ICANN)

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