米Integrated Researchが,企業のIP電話導入に関する調査結果を米国時間11月10日に発表した。それによると,大企業ではIP電話システムの普及が急速に進んでいるという。Integrated Research社は,その理由の1つとして,多国籍企業によるIP対応ビデオ会議の導入を挙げる。

 IP電話システムを「導入済み」または「12カ月以内に導入する」という企業は,全体の4分の3にのぼった。そのうち67%は,当初の導入作業で電話機の台数を500台未満に抑えていた。さらに66%は,「24カ月以内にIP電話システムを拡張し,1000台以上の電話機を導入する」と答えた。「これらの調査結果から,IP電話システム導入は段階的に規模を拡大する手法が好まれる,といえる」(同社)

 同社は,「大企業が段階的にIP電話に移行するのは,(PBXなどの)資産の寿命延長,既存アプリケーションの維持,LAN/WAN更新作業の最小化といった理由がある」とみる。しかし,前年の調査に比べ,「第2段階の拡張時に1000台以上の電話機を導入する」という企業が増え,大々的な拡張事例が多くなったという。

 同社では,「ほとんどの企業にとって,IP電話を導入すること自体は問題でなくなり,どのように既存PBXインフラから移行するかがポイントになった」と指摘する。

 「この傾向は明らかだ。既存PBXの契約期間終了が近づくにつれ,企業はIP電話の試験運用から本格導入に移っている。IP電話販売をけん引するそのほかの要因としては,IP対応ビデオ会議などでコスト削減が可能なことや,IP電話が成熟し,導入リスクが低くなったことがある」(Integrated Research社IP電話製品部門製品マネージャのKailem Anderson氏)

 IP電話導入の理由を質問したところ,42%がIP対応ビデオ会議への関心を挙げた。15%はビデオ会議を「導入済み」,12%は「1年以内に導入予定」,13%は「テスト中」という結果だった。

 「(IP回線による)ビデオ通信の性能はリソースの影響を受けやすく,サービス品質は通信性能に大きく左右される。さらに,音声/データ通信からの干渉もある。ユーザーの期待を満足させるには,ネットワーク管理者がビデオ品質にかかわる重要な要素をきちんと調べ,制御しなければならない。そのため,IP電話環境を監視し,トラブルシューティングや性能最適化に特化した管理ソリューションの必要性が高まっている」(Anderson氏)

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