近距離無線規格Bluetoothの標準化団体Bluetooth Special Interest Group(SIG)は米国時間11月8日に,最新仕様「Bluetooth Core Specification Version 2.0 + Enhanced Data Rate(EDR)」の承認を明らかにした。データ転送速度を従来の3倍まで引き上げ,消費電力を低減する。

 Version 2.0 + EDRでは,複数の機能やデバイスを同時に使用する環境や,大容量データを転送する際の性能向上を図ったという。また,消費電力を抑えることにより,「新世代のBluetoothデバイスでは,駆動時間がこれまでと比べ最大2倍持続する」(Bluetooth SIG)。

 Bluetooth SIG執行ディレクタのMichael Foley氏は,「CDレベルの音質のオーディオ・ストリーミング,デジタル画像の転送,レーザー・プリンタ出力などの用途がより高速なデータ転送を必要としており,これが新仕様策定の原動力となった」と説明した。

 Version 2.0 + EDRの主な特徴は以下の通り。

・データ転送速度を3倍向上(場合によっては最大10倍まで高速化)
・利用可能なバンド幅の拡大により,マルチリンクの方法を簡素化
・旧仕様との下位互換を保持
・ビット誤り率(BER)の性能を強化

 Bluetooth SIGは,新仕様をベースにした製品が2005年に市場に登場すると見込んでいる。「パソコン業界が先陣を切り,オーディオや画像関連デバイスがそれに続くだろう」(Bluetooth SIG)

 なおBluetooth SIGによると,米Broadcom,英CSR,米RF Micro Devicesが,新仕様対応チップのプロトタイプをテスト済みだという。Broadcom社とCSR社のチップは直ちに利用可能とし,RF Micro Devices社は2005年第1四半期にリリースする予定。

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