米Microsoftは,企業向けインスタント・メッセージング(IM)サーバーの新版「Microsoft Office Live Communications Server 2005」が製造段階(RTM:release to manufacturing)に入ったと,米国時間10月26日に発表した。「Standard Edition」と,より大規模な環境向けの「Enterprise Edition」という2種類の製品を用意する。

 Live Communications Server 2005は,複数の組織間で同一の暗号化/認証/管理環境を構築し,ファイアウオールを越えてリアルタイムにIMを利用したりプレゼンス情報を共有したりできる。さらに,MSN,AOL,Yahoo!といった公衆IMネットワークとも連携可能で,連絡用チャネルの作成が行える。

 自宅や移動中,客先など,企業ネットワークの外部からプレゼンス/IM機能を遠隔利用することも可能である。その際,標準的なファイアウオールのポートを使って安全な認証を行うので,VPNを使う必要がない。

 新版は,同時に通信可能なユーザー数が旧版より増え,1サーバー当たり最大1万5000人がIMでやり取りできる。Microsoft社が10月19日に発表した企業向け通信クライアント「Istanbul」(開発コード名)とも連携する。

 さらにEnterprise EditionはMicrosoft SQL Serverのアーキテクチャを導入したことで,「信頼性,可用性,拡張性を大幅に向上させ,予期せぬシステム停止のリスクを緩和するとともに,より高いレベルの可用性を実現した」(同社)という。また,最大で数10万人規模のユーザーにも対応できる。

 Live Communications Server 2005は,評価版を11月終わりごろより利用可能とする。正式版のリリースは12月1日の予定。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,1サーバー当たりの価格はStandard Editionが750ドル,Enterprise Editionが3000ドルという。

 また別の米メディアの報道(TechWeb)によると,IM管理ソフトウエア・ベンダーの米IMlogicと米FaceTime Communicationsが,Live Communications Server 2005への対応を表明したという。

◎関連記事
米Microsoft,企業向け次世代通信クライアント「Istanbul」を発表
米Microsoft,米AOL,米Yahoo!が最大規模のIMネットワーク構築を目指し提携
米AOL,企業IMユーザー向けのオンライン会議サービス「AIM Business Services」を発表
米Yahoo!,米WebExのWWW会議システムを統合した企業向けIMサービスを発表
「多くの企業は,スパイウエアやファイル共有ソフトを大きな問題と捉えていない」,米Secure Computing
「職場やモバイルでのIM利用が増加」,米AOL調査
「2004年の企業IMユーザー数は3.62億人,2008年には6.7億人に」,米調査
「企業の36%は社内のIM利用を禁止,セキュリティ侵害や法規違反を懸念」,米調査

[発表資料へ]