米Time Warner傘下のAmerica Online(AOL)は米国時間10月25日に,米Microsoftのスパム対策仕様「Sender ID」の新バージョンをサポートする意向を明らかにした。AOL社によると,Microsoft社は新バージョンの仕様をインターネットの標準化機関Internet Engineering Task Force(IETF)に同日提出したという。

 Sender IDは,Microsoft社の「Caller ID for E-mail」と,米Pobox.com共同創業者のMeng Wong氏が開発した「Sender Policy Framework(SPF)」を統合した仕様。電子メールの発信元を確認することで,フィッシング,スプーフィング(なりすまし),スパムといった電子メール詐欺の防止を目的とする。

 Microsoft社は,6月にSender IDをIETFに提出した。しかし,IETFの電子メール向け送信元認証技術を検討するワーキング・グループMTA Authorization Records in DNS Working Group(MARID WG)は,Sender IDを構成するMicrosoft社の特許を問題視し,同仕様を標準規格として採用しないことを9月に決定した。

 またAOL社も,Sender IDサポートの撤回を9月15日に発表。その際,AOL社は「当社がすでにサポートを約束している仕様に対してSender IDが下位互換性を備えていない」ことを理由として挙げていた。

 しかし今回,AOL社は「Microsoft社が強化し,新たに提出したSender IDの新バージョンは,当社の懸念をすべて克服していると確信する」として,サポートを表明。AOL社はSender IDの認証実験に参加し,年内に発信元ドメインの確認テストを開始する。

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