米CipherTrustは,同社が収集した電子メール・メッセージを分析した結果を米国時間10月18日に発表した。それによると,世界全体のフィッシング攻撃を仕掛けている組織は5つにも満たないという。

 10月前半の2週間に調査をした結果,フィッシング詐欺メールの割合は1%未満だった。しかし,同社はインターネット上で送信されるフィッシング・メールは,毎日およそ1000台の異なるゾンビ・コンピュータ(悪質なプログラムをインストールされて第3者に乗っ取られたコンピュータ)から送信されていることを発見した。

 「500万件を超えるメッセージを検証している際に,あるパターンに気が付いた。フィッシングに関与するIPアドレス数は1日におよそ1000個前後だった。この1000個のIPアドレスは毎日異なるものであったことから,攻撃を仕掛けている者は,乗っ取られたネットワークによるサービスを購入しているか,自分でそのようなネットワークを取得していると考えられる」(同社リサーチ・エンジニアのDmitri Alperovitch氏)

 同氏は,どの時間を取ってみても同時に5つ以上のオペレーションが進行していることが無いことから,攻撃元となる組織の数は少ない,という結論に達した述べている。

 これらゾンビ・コンピュータの70%は,スパムの送信にも利用されていた。ゾンビ・マシンの32%は米国,16%は韓国をベースとするものだった。残りの52%は,98カ国に分散されている。フィッシング攻撃の46%は,「Citibank」のブランド名を利用している。残りの54%は,金融,オンライン小売業界における12の有名なブランド名を利用していた。

 また,フィッシング攻撃は,スパムと異なり正確にターゲットを絞っていることも明らかになった。たとえば,欧州の大手金融会社であるLloyds TSB社のブランド名を利用したフィッシング詐欺メールは,同社が拠点を置く欧州の電子メール・ユーザーに大半が送信されている。

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