モバイル機器向けプロセサの大手である英ARMは,組み込み用の新しいプロセサ「ARM Cortex-M3」を現地時間10月19日に発表した。同プロセサは,マイクロコントローラ,車載システム,大型家電,ネットワーキング機器などの低コストで高性能が求められる製品向けに設計されている。

 同プロセサは,新しいARM CortexシリーズCPUコアの最初の製品となる。同シリーズでは,Thumb-2技術によりチップ・メーカーとOEMが単一のアーキテクチャを中心としてプロセサの標準化を図ることができる。そのため,大幅に開発コストが削減できるとともに,効率が向上するという。

 Cortex-M3プロセサは,複数の革新技術を組み合わせることにより,3万3000ゲートのコアで最大1.2DMIPS/MHzの性能を実現する。チップ・ベンダーは,非常に低いコストで製品の提供が可能になるという。

 同社EVP MarketingのMike Inglis氏は,「ARM Cortex-M3は,ARMアーキテクチャのターゲット市場を大幅に拡張するものであり,デジタル界全体に渡ってプロセサ・ソリューションを提供するという当社の目標を前進させるものである」とコメントする。

 「当社のパートナに低コストで高性能を実現するプロセサ設計を提供することにより,競争が激しい32ビット製品を車載システムとマイクロコントローラ市場への投入とレガシー技術からの移行を促進する」(同氏)

 米Gartnerによれば,過去5年間で32ビット・マイクロコントローラ業界は急発展しており,2003年には売上高が4倍の24億ドルに達している。この先5年間で,同市場は規模が2倍になると見られている。

 Cortex-M3プロセサは,発表と同時にライセンス供与が開始された。2005年第3四半期までに同社のパートナ向けにRealView開発ツールなどがリリースされる予定。

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