米palmOneは,米Microsoft社から「Exchange Server ActiveSync」プロトコルのライセンス供与を受けることを米国時間10月5日に発表した。同技術は,PDA端末からデスクトップ・パソコンを介することなく「Exchange Server 2003」上の電子メール,予定表,連絡先データを直接同期させるもの。PalmOne社は,同技術をPalmOne社のスマートフォン「Treo」に搭載を予定している。今回のライセンス契約に関わる条件の詳細は明らかにされていない。

 palmOne社は前年,ハンドヘルド機用OS「Palm OS」事業を手がける同社傘下のPalmSource社を分離独立させたのち,社名を「Palm」から現在のpalmOneに変更した。Microsoft社は,モバイル機器向けプラットフォーム「Windows Mobile」を販売しており,両社はライバル関係にあった。

 今回の契約により,palmOneユーザーは,ハンドヘルド上でExchangeの電子メールを同期させるためにサードパーティ製のソフトを使う必要性が排除される。ユーザーは,同社の「VersaMail」クライアントを使って電子メール,カレンダといったExchange Server 2003のデータに直接リンクできるようになる。

 「palmOne社のスマートフォン『Treo』と当社の『Exchange Server 2003』の組み合わせにより,安全かつ容易に無線で電子メールが同期できるためエンドユーザーの生産性が大幅に向上する。同時にミドルウエアの必要性が排除されるためITコストの削減が図れる」(Microsoft社 Exchange Server部門担当副社長のDave Thompson氏)

 米IDCの調査によれば,オフィスから離れて働くモバイル・ワーカーにとって,電子メールはもっとも必要とされるアプリケーションである。米国において,2002年に1000万人だったモバイル・ワーカーの数は2006年には1億450万人に増加するという。2004年の時点で,企業の投資予算が最も大きのは電子メールだった。

 米Forrester ResearchのアナリストであるCarl Zetie氏は,「今回の提携は,PalmOne社にとって朗報である。というのは,機能性が拡張されるということよりも,企業市場においてPalmの大きな障害が取り除かれたことで意味がある」とコメントしている。

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