米IBMが,北米,欧州,アジアに11カ所あるオンデマンド・サービス・センターの拡張と,3種類の新しいユーティリティ・コンピューティング関連サービスを,米国時間10月1日に発表した。

 IBM社は,米国,ドイツ,イタリア,スウェーデン,英国,オーストラリア,日本,シンガポールで運営している11カ所のオンデマンド・サービス・センターについて,規模を拡張する。さらに同社は,2005年にほかのセンターについても拡張作業を行う計画。

 同社はこの拡張計画を,オンデマンド向けインフラ「Universal Management Infrastructure(UMI)」上で実施する。UMIはソフトウエア,アーキテクチャ,成功事例をまとめたものであり,「ビジネス・プロセスと関連アプリケーションを含むデータ・センター全体を,動的な仮想インフラで統合する際に使える」(同社)。HP-UX,IBM AIX,Linux,Microsoft Windows,Sun Solarisといったさまざまな環境に対応している。

 UMIを使用すると,企業内の複数の事業部門がインフラ・リソースを融通し合い,必要とするときに処理能力を完全に活用できるようになる。さらに,追加で必要となる設備投資額を減らせる。インフラ設定作業は自動化されているので,迅速に新しいアプリケーションの導入と運用開始が行える。

 「世界各地にある11カ所のオンデマンド・サービス・センターにUMIを導入することで,どこからでもユーティリティ・サービス形式のソフトウエアが利用しやすくなる」(同社)

 また,同社が提供を開始するUMI関連の新サービスは以下の通り。

・Infrastructure Services Readiness Engagements for Utility Computing:
 eServer,Tivoli,WebSphereを使ったユーティリティ・コンピューティング環境を構築するためのサービス。同社が,設計や導入作業を支援する。世界各地で直ちに利用可能とする

・Flexible Demand Option:
 利用したプロセサやストレージ,ネットワークなどの量に応じて使用料が発生する料金体系。世界各地で直ちに利用可能とする

・ホステッドCRMソリューション:
 金融サービス,ハイテク,生命科学,自動車業界向けのCRMソリューション。2004年終わりごろ利用可能とする

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