アイルランドの調査会社Research and Marketsは,デジタル音楽配信に関する調査結果を現地時間9月30日に発表した。それによると,デジタル音楽配信は,米Napsterのかつての無料ファイル交換サービスの問題や,全米レコード協会(RIAA)のユーザー訴訟などの困難を乗り越え,確実に成長を続けているという。

 調査は,RIAAの訴訟に対する消費者の動向の変化をはじめ,CDへの記録,携帯型デジタル音楽プレーヤの将来,音楽の共有化に伴う小売店の影響などを分析し,他社のデータも含めてまとめたもの。

 Research and Markets社によると,米国では,インターネット利用者の34%にあたる5500万人が,過去12カ月間にデジタル音楽をダウンロードしている。「2003年のデジタル音楽配信市場は,米US Bancorp Piper Jaffrayが推定する1690万ドル規模から,米Jupiter Researchが推定する8億ドル規模まで幅があるが,デジタル音楽のダウンロードは着実に根付いている」(同社)

 カナダIpsos-Reidの調査によると,電子メールや写真共有ほどは普及していないものの,デジタル音楽配信の利用率は,1999年の35%から2002年には44%へ増加しているという。「他社が行った調査の大半で,10人中3人以上が音楽をダウンロードした経験があると回答しており,すべての調査でデジタル音楽配信の利用増加を示している」(Research and Markets社)

 ちなみに,米Strategy Analyticsは「音楽のダウンロードがブロードバンド移行への強力なけん引役となる」としている。同社の調査では,ブロードバンドに移行する最大の目的として,44%が「音楽のダウンロード」を挙げた。

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