米Sprintとスウェーデンの研究機関Swedish National Research and Education Network(SUNET)は,公共インターネットを介したデータ転送の世界記録を達成した。次世代インターネット研究開発コンソーシアムの米Internet2は,「Land Speed Record」コンペティションの優勝者として米国時間9月30日,Sprint社とSUNETに賞を授与した。

 Sprint社とSUNETのエンジニアリング・チームは,2万8983キロの距離で4.31Gbpsのデータ転送速度を達成した。この記録は,9月12日に樹立されたものであり,同チームが4月に出してギネスブックに掲載されている記録を塗り替えた。

 インターネットを介したデータ転送は,速度と距離が増すにしたがってより難しくなる。Internet2は,「Land Speed Record」コンペティションを実施しており,今回優勝した同チームが達成した記録は12万4900 Tb-m/sだった。

 SprintとSUNETの統合チームは,特別なハードウエアやソフトウエアを利用することなく,米カリフォルニア州サンノゼから2万8983キロ離れたスウェーデン北部のルーレオ大学(Lulea University of Technology)へ1831Gバイトのデータを送り,およそ61分で送信を完了した。データは「GigaSunet」バックボーンと「SprintLink」コア・ネットワーク経由で送られ,転送速度は4.31Gbpsだった。このデータ量は,高品質な音声通話にして12万4400件分,またはオーディオCDの2800枚分に相当する。

 この転送速度は,一般的な家庭のブロードバンド接続の4000倍。大規模なビデオ会議,HDTV配信,災害復旧などの目的で社外にストレージを置く場合などにこの成果を生かせるという。

 同チームは,4月にカリフォルニア州サンノゼにあるパソコンから840Gバイトのデータを地球のほぼ裏側にある1万6346キロ離れたスウェーデン北部のルーレオ大学へ送り,27分以内に送信を完了していた。今回は,その記録を塗り替えた。データはインターネット・バックボーン「SprintLink」と「GigaSUNET」経由で送られ,転送速度は4.23Gbpsだった。この結果は,ギネスブックに記録されていた。

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