米Jupiter Researchは英国時間9月27日に,欧州のデジタル音楽市場に関する調査結果を発表した。欧州におけるデジタル音楽の売上高は,2003年の1060万ユーロ(約1300万ドル)から,2004年末には4630万ユーロ(約5700万ドル),2009年には8億3600万ユーロ(約10億3000万ドル)へと急増する見通しだ。しかし,2009年にデジタル音楽の売上高が音楽販売全体で占める割合は8%で,CDが依然として音楽販売の主流を占めるという。

 Jupiter Research社によると,米Apple Computerや米Napsterが欧州市場に参入したことや,Apple社のデジタル音楽プレーヤ「iPod」の人気などが追い風となり,同市場は急成長を遂げている。しかし,消費者の選択肢は拡大したものの,音楽カタログ提供の有無や価格のバラツキに加え,各種ファイル・フォーマットの非互換性が混乱を招いているという。

 同社は,欧州市場では異なる消費者層,国,サプライヤごとに,さまざまなサービスや音楽配信サイトが生まれると予測しており,相互接続性の確保が重要だと指摘する。「音楽業界関係者の4分の3は,ファイル・フォーマットとデジタル著作権管理(DRM)技術の相互接続性を確立することで,デジタル音楽の普及を後押しできると考えている」(同社)

 デジタル音楽への移行は,技術的に進んだ北欧諸国がリードする。しかし,欧州のデジタル音楽市場を売上高でけん引するのは英国となる見通しだ。2009年には,英国の売上高が2億4800万ユーロ(約3億1000万ドル)に達し,欧州の売上高全体の30%を占めるようになる。

 Jupiter Research社リサーチ・ディレクタのMark Mulligan氏は,「欧州のデジタル音楽市場はようやく成長期に入ったが,音楽市場全体で占める割合は小さく,ニッチ市場と言える」と指摘した。「また,デジタル音楽の配信も,利益率の低いビジネスだと見なされている。音楽デバイスの販売やブロードバンド接続サービスなど,デジタル音楽と関連した収入源を持つ企業が,長期的視野に立って取り組まないと成功は難しいだろう」(同氏)

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