米West Technology Research Solutions(WTRS)と米ABI Researchは米国時間9月28日,近距離無線通信規格「ZigBee(IEEE 802.15.4)」の今後の動向に関する調査結果をそれぞれ発表した。ABI Research社は「2006年末までに,約8000万台のZigBee対応機器が市場に出回ることになる」としている。

 ZigBeeは,物理層のインタフェースにIEEE 802.15.4を用いる無線PAN(Personal Area Network)技術で,2.4GHz帯を利用する。Bluetoothより低速(最高250Kbps)で,最大伝送距離は30mだが,低コストで消費電力が少ないという利点がある。オランダのPhilips Semiconductorsなどが中心となって標準化作業を進めている。

 ABI Research社アナリストのChris Lopez氏は「ZigBeeは企業市場で普及し始めるが,最終的には,技術的制約の少ない消費者市場の方がベンダーにとって参入しやすいだろう」と語る。現在,ZigBeeベンダーの大半は規格の承認を待ち,消費者市場の動向を傍観している。「しかし,数社は早期参入し,顧客の信頼を勝ち取ろうとしている」(同氏)

 一方WTRS社は,「ZigBeeが標準としての地位を確立するものの,市場細分化のリスクが高く,ZigBee対応のプロプライエタリ製品が市場を独占する可能性がある」と指摘している。

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