米Microsoftの事業部門Microsoft Business Solutionsは,同社の無線ICタグ(RFID)ソリューションを中小企業向けに拡張する計画を米国時間9月28日に発表した。同社は,ERPソリューションの一部としてRFID技術の採用を計画している。中小企業は,管理しやすいIT環境を維持しながら同技術の利用が可能になるという。

 中小企業向けRFIDソリューションの拡張は,大規模な取引先が要求するRFID技術への対応とともに,企業内部における事業の効率促進を狙ったもの。同社は,食品メーカー米Jack Linkのサプライ・チェーンにおけるRFID技術導入のプロセスも同日明らかにした。

 Jack Link社は,国際的なスナック・メーカーであり米Wal-Martを始めとする大規模な小売り業者を顧客に抱える。同社は,RFID技術の導入でMicrosoft社,SAMSys Technologies社,SATO America社と協力してきた。同社は,ERPソリューションとしてMicrosoft Business Solutionsの「Navision」を採用している。RFIDデータはNavisionに統合され,自動化されたトランザクション,受注,製造,流通プロセスがより明確に把握できるようになる。同プロジェクトには,Microsoft社の初期段階のRFIDソリューションが採用されている。

 Jack Link社のプロジェクトでは,RFIDソリューションが4つの段階を経て実装される。すでに完了した第1段階は,Wal-Mart社の流通センターがあるNorth Texas向け製品のケース,パレットにタグ付けが行なわれた。この段階は,取引先が要求する基準に合わせることを目的としたもの。

 第2段階では,RFIDをNavisionと組み合わせて製造のトラッキングが可能になる。従来の手動による監視プロセスが自動化されて原料ロットと完成製品のトラッキングが記録されるようになる。第3段階ではプロセスが原料のサプライにまで拡張され,最後の第4段階では,RFIDを流通プロセスに利用して製造サイトから中央流通センターまで在庫の発送を自動化する。

 「わが社全体のサプライ・チェーンにRFIDを適用することにより,今まで実現が考えられなかったレベルで,プロセスの把握と精度を達成するだけなく,関連するすべてのビジネス・プロセスを大幅に自動化したいと考えている」(Jack Link社営業副社長Karl Paepke氏)

 Microsoft社は,「Axapta 4.0」,「Microsoft Navision 5.0」,「Great Plains」を含むERPソリューションにRFID技術の採用を計画している。中心となる事業プロセスとともに,パートナが顧客独自のプロセスを実装できる拡張可能なフレームワークにRFIDデータを統合が可能になる。

 Microsoft社は,デンマークの食品メーカーKiMsと協力して2003年12月下旬にRFIDのパイロット・プロジェクト開始している。同プロジェクトでは,原材料調達,販売受注管理,在庫管理向けにAxaptaを採用し,商品出荷時のパレット監視や流通における場所を把握するためにRFIDソリューションを統合した。

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