米Adobe Systemsは米国時間9月27日に,生デジタル写真ファイルの統一仕様「Digital Negative Specification」を発表した。「各種のデジタル・カメラによる画像ファイルを統一のフォーマットで,長期にわたって保存することができる」(Adobe社)としている。

 カメラで撮影したままの画像情報を持つデジタル写真の生ファイルは,画質が高く,加工の幅も広いが,メーカーやカメラの機種によってフォーマットが異なっている。Adobe社Digital Imaging and Digital Video製品部門上級バイス・プレジデントのBryan Lamkin氏は,「プロの写真家やクリエイタは,創造性の高いデジタル画像の作成に(JPEGやTIFFではなく)生ファイルを使うようになっている。しかし生ファイルのフォーマットは多数有り,おまけに,10年後も利用できるのか誰も確信がない」と指摘する。

 「Digital Negative Specificationにより,オリジナルのままの写真ファイルを将来,数世代にわたって保存することができる」(Adobe社)

 Digital Negative Specificationは,TIFF EPフォーマットをベースにする。Adobe社のWebサイトに掲載し,ロイヤリティ・フリーで提供する。メーカーやベンダーは,同仕様に準拠した「.DNG」フォーマットをデジタル・カメラ,プリンタ,ソフトウエアなどに取り入れることが可能。

 Adobe社は,Digital Negative Specificationの発表に伴い,各種フォーマットのデジタル写真ファイルを.DNGフォーマットに変化するためのソフトウエア・ツール「Adobe DNG Converter」をリリースした。同社Webサイトから無償で入手可能。65機種以上のカメラの写真フォーマットを.DNGファイルに変換できる。

 またAdobe社は,同社の画像編集ソフト「Adobe Photoshop CS」で.DNGフォーマットをサポートする。同日発表したAdobe Photoshop CS向け拡張機能「Camera Raw 2.3 Plug-in」を追加することで,合計65機種以上のデジタル・カメラに対応し,.DNGフォーマットへの処理が可能となる。Camera Raw 2.3 Plug-inは,同社Webサイトで無償提供している。なお,「Adobe Photoshop Elements 3.0」でも,Adobe Photoshop CSと同様のフォーマットに対応する。

 ちなみにAdobe社によると,米Microsoft,米Hewlett-Packard,米CorbisなどがDigital Negative Specificationのサポートを表明しているという。

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