米National Semiconductorが,パソコンのマザーボードに組み込んで使用するセキュリティ・チップ「SafeKeeper Trusted Input/Output(I/O)」を米国時間9月16日に発表した。デスクトップ・パソコン用の「PC8374T Desktop Trusted I/O」と,ノート・パソコン用の「PC8392T Notebook Trusted I/O」を用意する。なお,パソコン・メーカーとしては米IBMが初めてデスクトップ・パソコンに同チップを採用する。

 SafeKeeper Trusted I/Oチップは,パスワードやデジタル証明書,暗号化鍵を安全に保存するためのマイクロコントローラTrusted Platform Module(TPM)と,Super I/O,Trusted Computing Group(TCG)セキュリティ仕様に対応したファームウエアを統合したLSI。コンピューティングとセキュリティに関する業界団体Trusted Computing Group(TCG)の策定する仕様に準拠しており,BIOS,OS,アプリケーションなどパソコンのソフトウエアを,不正な悪意のある攻撃から守る。

 両チップとも,National Semiconductor社の組み込み用16ビット・コア技術「CompactRISC」を採用。「LPCバスに対応しており,入力デバイスとパソコンのあいだという理想的な場所に実装可能」(同社)という。同社の現行Super I/O製品とピン/ソフトウエア互換性があるので,現行および新製品のいずれにも対応可能なシステムを設計できる。

 「当社の新型デスクトップ・パソコンにTrusted I/Oチップを採用することで,『IBM Embedded Security Subsystem』対応『IBM ThinkCentre』は現在入手可能な製品のなかで最も安全な業界標準パソコンとなる」(IBM社パーソナル・コンピューティング部門無線&セキュリティ・ソリューション担当プログラム・ディレクタのClain Anderson氏)

 128ピンPQFP版PC8374Tは既に利用可能となっている。1000個ロット時の単価は5ドル。PC8392Tは2004年第4四半期に利用可能とする。1000個ロット時の単価は7ドル。いずれも無鉛パッケージを採用した。

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