「半導体業界は,多数のベンダーがひしめき合い,過剰競争となっているが,今後10年以内にベンダーの約40%が撤退する可能性がある」。米Gartnerは米国時間9月13日,半導体業界の今後の動向に関する調査結果を発表した。

 Gartner社は半導体業界における今後の大きなトレンドとして(1)デバイス統合の促進(ムーアの法則の維持),(2)製造規模と製造量の増強,(3)企業市場から消費者市場への移行,(4)サービス・プロバイダの役割拡大,(5)画期的な新技術の登場を挙げている。

 これらのトレンドのうち,最初に発生し,かつ最も基本となるのがデバイス統合の促進という。デバイス統合は,チップの高速化,電力消費の低下,チップあたりの機能拡大,システム・コストの削減,装置の小型化という点で,膨大なメリットをもたらす。

 しかしGartner社バイス・プレジデント兼リサーチ責任者のJim Tully氏は「設計のコストと複雑性が増すほか,システム構造が多様化するため,今後チップを供給できるベンダーは限られてくる」と指摘する。「半導体ベンダーの数は,1980年代半ばの約120社から,2003年には約550社まで増加したが,今後10年以内に大きな業界再編が起こるだろう」(同氏)

 また,製造規模と製造量を拡大するに従い,コストも増加し,製造工場に膨大な費用がかかるようになる。そのため,次世代工場は,大半の企業にとって高すぎて手が出ないものになる。

 さらに,企業市場から消費者市場に主軸が移ることも,ベンダーに課題を投げかける。消費者市場は流行があり,予測不可能であることだ。2013年には,半導体売上高の50%以上を消費者向け機器分野が創出すると見る。

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