米IBMは米国時間9月13日に,「POWER5」プロセサを搭載したエントリ・レベルのLinuxサーバー「eServer OpenPower 720」を発表した。「米Hewlett-Packard(HP)や米Sun Microsystemsのエントリ・サーバーより安価なシステムを提供する」(IBM社)
eServer OpenPowerは,これまでハイエンド・システムのみで装備されていた大企業向けの機能を提供するという。将来的には,マシンやネットワーク,ストレージなどを仮想化する技術「Virtualization Engine」の機能を追加する。
POWER5プロセサは,64ビット・アプリケーション対応のPower5アーキテクチャを採用。1台のサーバーで複数のOSを動作させる論理パーティショニング機能を持ち,32ビットおよび64ビット環境の共有などが可能。米Novellや米Red HatなどのLinuxディストリビューションをサポートする。
eServer OpenPower 720は,動作周波数1.5GHzまたは1.65GHzのPOWER5を搭載する。メモリーは64Gバイトまで拡張可能。4ウエイのラック型あるいはタワー型で提供する。対応OSはNovell社の「SUSE LINUX Enterprise Server 9」とRed Hat社の「Red Hat Enterprise Linux AS 3 Update 3」。
1.65GHz版eServer OpenPower 720を用いた「SPECompM2001」ベンチマーク・テストの性能値は1万522(8スレッドで実行)で,「動作周波数1.5GHzの『Itanium 2』を搭載したHP社の4ウエイ・サーバー『rx7620』の性能値である6886(4スレッドで実行)を52%上回る」(IBM社)。
eServer OpenPower 720は,2004年9月24日に出荷を開始する。価格は5000ドルから。1万8738ドルのシステム構成(1.65GHz版)を,同様の構成の競合製品と比較した場合,「HP社のサーバー『rx4640-8』(プロセサの動作周波数は1.5GHz)より最大65%,米Dellの『PowerEdge 7250』(同1.5GHz)より最大55%,Sun社の『Sun Fire V40z』(同2.4GHz)より最大17%安い」(IBM社)。
仮想化機能は2004年第4四半期にオプションで提供する。価格は2000ドルから。またIBM社は,2005年前半に,2ウエイ構成のeServer OpenPowerをリリースする予定である。
◎関連記事
■米IBM,POWER5ベースのブレード・サーバーやスパコンをデモ
■米Novellと米IBMが提携拡大,eServer製品に「SUSE LINUX Enterprise Server」をプリインストール
■米IBM,Linux普及を狙いWindowsからの移行支援などパートナ支援制度を強化
■「米Intelと米IBMが優勢」――64ビットCPUの比較調査
■米IBM,仮想化技術「Virtualization Engine」を搭載したサーバーを第2四半期に出荷
■米Sun,Opteron搭載4ウエイ・サーバー「Sun Fire V40z」などを発表
■「サンの中小型機がターゲット」、HPがIA-64搭載のUNIXサーバーを拡充
■激化するエントリ・サーバーの価格競争,デルが最廉価機を3万円に値下げ
[発表資料へ]