米Oracleは,中小企業向けミドルウェア・パッケージ「Oracle Application Server Standard Edition One」の提供を開始した。同社が英ロンドンで開催中の「Oracle OpenWorld」カンファレンスにおいて現地時間9月7日に発表した。

 同製品は,アプリケーション・サーバー,Webサーバー,ポータル技術を含むOracle Application Serverミドルウェアで構成されている。企業は,企業ポータル,J2EEベースのインターネット・アプリケーション,Webサイトの構築に利用できる。

 同製品は,エンタプライズ市場以外のサーバー・ソフトウエアの販売拡張を狙ったもの。同社は,アプリケーション・サーバーの販売促進に向けて専門の営業社員をこれまでの2倍に相当するおよそ420人に増強するという。

 同製品の価格は,1プロセサに付き4995ドル(最大2プロセサまで)。エンタープライズ版の「Oracle Application Server Standard Edition」のおよそ半額に設定された。また,使用するユーザー数に応じて価格を決めるNamed User Plusライセンスも用意されている。ユーザー1人当たり149ドルで最低5人から適用される。

 また同日,同社はデータベースとアプリケーション・サーバーの管理ソフトが米Hewlett-PackardのOpenView管理スイートと情報を共有できるようになったことも明らかにした。「HP OpenView Smart Plug-In for Oracle Enterprise Manager 10g Grid Control」は,HP社から同日より提供される。

 Oracle Enterprise Manager 10gは,企業のコンピューティング・リソースを自動管理し,ポリシーと管理サービス・レベルの維持,事業条件の変更に応じた既存リソースの再調整を可能にするもの。HP OpenViewとOracle Enterprise Manager 10g Grid Control(Oracle Grid Control)の統合により,企業のIT部門は,複雑なIT環境とグリッドにおけるシステムの有用性やパフォーマンスの改善が期待できるという。

 Oracle Grid Controlは,Oracle環境向けに高度なアプリケーションとサービス・レベルの監視,パフォーマンス管理とプロビジョニングを提供する。HP OpenViewは,監視,管理,プロビジョンを行なうオペレーティング・システム,ハードウエア,ネットワークを提供する。

 HP OpenViewプラグインにより,管理者は,Oracle Application Server,Oracle Database,Oracle E-Business Suiteの監視が可能になり,イベントの通知,警告,アラートがHP OpenViewコンソール内から提供され,システム・レベルの振る舞いとその情報を関連付けることができる。また,両製品の組み合わせにより,Oracle技術スタック全体に関連する問題を事前に認識し,有用性やパフォーマンスへの影響を最小限にするためのツールを提供する。管理者は,潜在的なIT問題を知らされるだけでなく,HPプラットフォーム上で実行されるOracle環境を最適化するために過去とリアルタイムのシステム情報にアクセスできるようになる。

 Oracle Enterprise Manager 10g Grid Control向けプラグインは,HP-UX,Windows,Solaris版が用意される。オペレーション管理サーバー向けプラグインは,Operations 7.1 on HP-UX,Operations 7.2 on Windows,Operations 7.1 on Solarisの3種類。オペレーション・エージェント・プラットフォームは,HP-UX,Solaris Serverに対応。またOracle Enterprise Manager 10g Grid Control向けには,HP-UXB版とSolaris版が用意される。

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