米In-Stat/MDRは米国時間9月1日,近距離無線通信規格「ZigBee(IEEE 802.15.4)」の今後の展望について調査した結果を発表した。それによると,2008年にはZigBee対応機器の出荷台数が1億5000万台を超える見込みだという。「ベンダーがOEM向けに,ZigBeeの利用を簡易化できるソリューションを開発できれば,市場は急成長を遂げる」(同社)

 ZigBeeは,物理層のインタフェースにIEEE 802.15.4を用いる無線PAN(Personal Area Network)技術で,2.4GHz帯を利用する。Bluetoothより低速(最高250Kbps)で,最大伝送距離は30mだが,低コストで消費電力が少ないという利点がある。オランダのPhilips Semiconductorsなどが中心となって標準化作業を進めている。

 In-Stat/MDR社リサーチ・ディレクタのJoyce Putscher氏は,「2004年はZigBee規格の開発が進展する年になる。2005年に試験運用が始まり,実用的な製品が登場する2006年にZigBeeは離陸期を迎えるだろう」と予測した。また同氏は,「ZigBeeの仕様は2004年第4四半期に公開される予定だが,他の無線技術をみても分かるように,仕様の策定や市場への普及が予定通りに進むとは限らない」と付け加えた。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・ZigBeeは当初,商用ビルの制御に最も利用される。その後,家庭内の自動化や産業分野に普及する

・ZigBeeは2.4GHz帯の利用が主流となるが,北米では915MHz帯の利用も検討している。また時間はかかるが,中国や欧州などで,他の周波数帯を採用する可能性もある

・業界で組み込み型ゲートウエイやブリッジの開発が進んでいることから,ZigBeeは他のネットワーク・スタックとも互換性を確保できる見通し

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