米Standard & Poor'sは,米国の電気通信業者に関する調査結果を米国時間8月26日に発表した。それによると,競争が激化し,収益の伸びが鈍化していることから,有線通信業者は引き続きコスト削減などに取り組むという。

 調査は,ケーブル/無線プロバイダとの競争,地域/長距離通信業者間での攻防,M&A,労働問題や,米AT&T,米SBC Communications,米Verizonなどの大手有線通信業者の動向を分析した。

 Standard & Poor's社アナリストのTodd Rosenbluth氏は「有線通信業者の苦境は,2004年いっぱいは続くだろう」と述べている。「大手地域電話会社の接続回線は少なくとも4%減少する。無線,ケーブル,インターネットを介した電話サービスが,米国世帯にかなり食い込んでいるためだ。また,大手地域電話会社は長距離電話市場にも進出しているので,価格競争のプレッシャから解放されることはないだろう」(同氏)

 しかし同氏は,「現在の状況は続くものの,大手地域電話会社は,今後数年間,電気通信業界の主導的地位を維持できるだろう」と述べる。「これまでの顧客との関係と,ネットワーク品質という強みがある。また,無線およびブロードバンドでのサービス提供で利益を得ることになる」(Rosenbluth氏)

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