米国防省(DoD)の海軍海洋学局(NAVOCEANO)は米IBMのクラスタリング技術を用いたスーパーコンピュータを導入する。IBM社が米国時間7月27日,明らかにした。NAVOCEANOのMajor Shared Resource Center(MSRC)で研究開発に用いられる予定。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,このスーパーコンピュータは通称「Kraken」。毎秒で約20兆回の演算処理が可能という。NAVOCEANOはこれまで,2001年に米Clayの「SV1ex」,2002年にIBM社の「Blue Ocean」などのスーパーコンピュータを導入している。

 今回NAVOCEANOに納入するスーパーコンピュータは,IBM社の「eServer p655」をクラスタ接続する。eServer p655は「POWER4+」マイクロプロセサを搭載しており,UNIX系OS「AIX」がベースとなる。

 NAVOCEANO MSRCは,DoDの高性能コンピューティング(HPC)近代化プログラムで独自の取り組みをしており,世界で最も高い処理能力が必要とされる研究開発プロジェクト「Challenge Projects」のサポートも含まれる。同プロジェクトでは,軍用の航空機,船舶,車両,および改良ミサイルの設計や,気象学や海洋学に関する最新調査などが行われる。

 「今回のスーパーコンピュータで,NAVOCEANO MSRCは新たなレベルの高性能コンピューティングを実現することになる。米軍での重大な局面において,より高度で,現実的なシミュレーションや分析が可能となるだろう」(IBM社Deep Computing部門バイス・プレジデントのDave Turek氏)

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