英ARMは,松下電器産業に「ARM1176JZF-S」と「ARM1136JF-S」プロセサのライセンス供与することを現地時間7月26日に発表した。これらプロセサ・コアは,松下電器の次世代携帯電話向けアプリケーション・プロセサやデジタルAV機器といったデジタル家電部門で採用される。

 松下電器は,今回のライセンス契約により,これまでにライセンス供与を受けている「ARM7」,「ARM9」ファミリに加えてARMをベースとしたデジタル製品のポートフォリオを拡張する。同社は,日本市場においてARM1176JZF-Sプロセサ・コアの最初のライセンス取得者となり,高性能でさまざまな機能を提供するシステム・オン・チップ(SoC)製品の開発に取り組む。

 ARM1176JZF-Sコアは,デジタル家電や次世代携帯電話機向けに設計されている。ユーザーの個人情報,デバイスの整合性,電子取引といったセキュアなコンピューティング環境を強化するためのセキュリティ技術「ARM TrustZone」を提供する。同製品は,浮動小数点コプロセサを装備しているため,3Dグラフィック・アプリケーションに適している。また,「ARM Intelligent Energy Manager(IEM)」技術に対応しており,プロセサの消費電力を25%まで低減することが可能になるという。

 ARM1136JF-Sコアは,デジタルTV,ナビゲーションといったデジタル家電や車載エンターテインメント・アプリケーションのネットワーク・インフラ向けに設計されている。

 ARMv6インストラクション・セットとともにメディア拡張,Javaバイトコードの実行を高速化する「ARM Jazelle」技術,「ARM Thumb」コード圧縮技術,オプションの浮動小数点コプロセサを搭載する。

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