米Via Licensingと,MPEG-4関連組織MPEG-4 Audio Licensing Committeeのメンバー企業は,音声符号化技術「MPEG-4 High-Efficiency AAC(aacPlus)」を利用する際のライセンス条件を公開した。Via Licensing社が米国時間7月19日に明らかにしたもの。

 aacPlusのライセンスは,Reasonable And Non-Discriminatory(RAND:妥当かつ非差別的)方式。ライセンス料など詳しい条件は,Via Licensing社のWebサイトに掲載している。

 aacPlusは,MPEGのAdvanced Audio Coding(AAC)と,スウェーデンのCoding Technologiesが開発したSpectral Band Replication(SBR)を組み合わせた符号化技術。SBRを適用したことで再生帯域を拡大でき,AACの半分のサイズで同等の音質を再現できるという。aacPlusを用いれば,128Kbpsのデータ転送速度で5.1マルチチャネルを,48Kbpsで音楽CD並みの音質を,32Kbpsでステレオ再生を実現できる。

 「aacPlusは,DVD ForumがDVD AudioディスクのROM-Zone用音声コーデックとして採用したほか,既に第3世代携帯電話ネットワークで音楽配信用のフォーマットとして普及している」(Via Licensing社副社長兼ジェネラル・マネージャのRamzi Haidamus氏)

 MPEG-4 Audio Licensing Committeeは,MPEG-4業界団体であるMPEG-4 Industry Forum(M4IF)内の委員会。Via Licensing社は米Dolby Laboratories傘下の企業で,同委員会からaacPlusに関する特許管理業務の委託を受けている(関連記事)。

 同ライセンスの策定作業には,以下の企業が参加した。米AT&T,Coding Technologies社,Dolby Laboratories社,ドイツFraunhofer IIS,NEC,オランダRoyal Philips Electronics,ソニー。

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