米Datacomm Researchが,無線マシン・ツー・マシン通信(MtoM)市場に関する調査結果を米国時間7月14日に発表した。それによると,無線ネットワークに接続される機器の数は今後4年で10倍以上に増えるという。ただしDatacomm Research社は,「同市場の成長に乗じて利益を上げるには,正しい分野に注力するとともに,市場をけん引する要素を研究し,明確化された可能性と障害に対応したソリューションを提供すべき」と指摘する。

 MtoM市場のうち最も可能性の高い分野の一つとして,Datacomm Research社社長のIra Brodsky氏は遠隔機器管理を挙げる。「(この分野で)必要とされているのは,屋内の機器にアクセスするための優れた無線ソリューション,機器のメンテナンス時期を予測する強力なアルゴリズム,遠隔診断/利用状況モニタリングの強化に向けた機器ベンダーとのより密接な協力だ」(同氏)

 同社はMtoM市場のその他主要6分野について同様の分析を行い,ベンダーへの提言を行った。そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・無線MtoM市場の成長要因は,(1)携帯電話サービスの普及,(2)無線モデムの低価格化,(3)利用帯域幅に応じた料金の無線サービス,(4)強力なインターネット対応ツールの登場

・現在のMtoM市場の規模は比較的小さく,細かく分断されている。2003年における無線モジュールと無線測定端末の販売台数は約700万台。デジタル携帯電話機がその多くを占めたが,アナログ携帯電話機,無線LAN機器,ポケベル,衛星通信ユニットもあった

・無線MtoMの主な用途は,(1)センサーとデータ収集地点との無線接続,(2)データ収集地点とコントロール・センターとの無線接続。現在のところ,ほとんどの無線MtoMが後者の用途で使われている。無線センサーの数は,今後大幅に増加する可能性がある

・“スマート・ダスト”(頭脳を持つほこり)と呼ばれる自己管理機能を備える無線センサー・ネットワークの実現に向けて,MtoM適用が盛んに検討されている。より目立たないセンサーが開発され,低価格化が進んで利用しやすくなり,スマート・ダスト技術はMtoM業界を大きく変える。ただしスマート・ダスト市場が成立するまでには,研究者らの予想よりも長い準備期間が必要

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