米IBMは,マイクロプロセサ「POWER5」を搭載する新サーバー製品系列「eServer p5」を米国時間7月14日に発表した。IBM社は,「米Hewlett-Packard(HP)や米Sun Microsystemsのシステムに比べ,処理性能が最大3倍高い」としている。

 POWER5は,IBM社の次世代マイクロプロセサ。2億7600万個のトランジスタを集積しており,銅配線,シリコン/絶縁膜構造(SOI)を採用。製造プロセス・ルールは0.13μm。複数のマイクロプロセサ・コアだけでなく,これまで外部LSIで実現していたメモリーやタスク管理機能も内部に組み込んでいる。

 eServer p5システムは,POWER5を2個から16個搭載できるサーバー製品系列。ベンチマーク・テストTPC-Cを使って処理性能を計測したところ,eServer p5は4分の1のプロセサ数でHP社のシステムを上回る結果を出したという。さらに「eServer p5は,トランザクション処理,Web処理速度,Java処理性能,その他ビジネス・アプリケーションの一部で従来の世界記録を破り,状況によってはHP社およびSun社のシステムよりも2倍~3倍高い性能を示した」(IBM社)

 同システムは,同社がこれまでメインフレームで使用していた「Micro-Partitioning」技術を拡張した仮想化技術「IBM Virtualization Engine」に対応している。同技術を利用すると,1つのプロセサを最大10個の仮想サーバーとして使うことができる。プロセサの利用効率を高め,プロセサ・パーティションの負荷分散を自動的に行えるので,システムの管理が容易になり,ITコストの削減につながるという。

 対応OSは,AIX5L V5.2,AIX 5L V5.3,Linux(RedHat,Novell SUSE)。

 同社は当初,eServer p5システムとして以下の3種類のモデルを提供する。

・eServer p5-520:
 デスクサイド/ラックマウント型の2ウエイ・システム。プロセサの動作周波数は1.65GHz。メモリー容量は最大32Gバイト。1万2920ドルから

・eServer p5-550:
 デスクサイド/ラックマウント型で,4ウエイまで拡張可能。プロセサの動作周波数は1.65GHz。メモリー容量は最大64Gバイト。2万2100ドルから

・eServer p5-570:
 16ウエイまで拡張可能。プロセサの動作周波数は1.9GHz。2万5928ドルから

 同社は,eServer p5-570の中小企業向けエントリー・モデル「eServer p5-570 Express」も用意する。プロセサの動作周波数は1.5GHzとし,2ウエイ~8ウエイ構成が選択可能。メモリー容量は最大256Gバイト。価格は2万8659ドルから。

 さらに同社は,「eServer i5」サーバー製品系列に搭載可能なプロセサ数を増やし,16ウエイの「eServer i5 570」と32ウエイの「eServer i890」を販売することも明らかにした。

 eServer p5およびeServer i5のいずれのモデルも,8月31日より利用可能とする。

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