米IBMは,ドイツのMETRO Groupに無線ICタグ(RFID)管理用ミドルウエアなどを提供し,サプライ・チェーンへのRFID導入を支援する。IBM社がドイツで現地時間7月7日に明らかにしたもの。METRO Group社は商品の搬入処理をRFIDで自動化することにより,在庫の数え間違いを排除し,在庫切れをなくして顧客満足度の向上を図る。

 METRO Group社では,2004年11月より同社のサプライ・チェーン全体をRFID化する計画を進めている。当初,消費財サプライヤ20社が商品輸送用パレットにRFIDタグを装着し,2005年にはさらに80社が対応する。その後,2006年1月までにRFID対応サプライヤを300社に増やす。

 IBM社は,「WebSphere」ベースのRFIDおよびデータ管理ソリューションをMETRO Group社に提供し,サプライヤのプロセスとMETRO Group社のサプライ・チェーンの統合に協力する。RFID化により,商品の輸送状況を素早く確認でき,輸送過程のどこにあっても正確な位置が把握可能になるという。

 「METRO Group社は,迅速/効率的/安全なサプライ・チェーンを構築できる。このシステムは,市場状況や顧客需要の変化にリアルタイムに対応可能な柔軟性も備えている。パレット搬入にかかる時間を削減することで,輸送トラックからの荷下ろしの時間も短くなる」(IBM社)

 なお,米Microsoftが4月に発表したプレスリリースによると,METRO Group社は2004年11月に全6部門のうち4部門でRFIDシステム導入を開始する予定という。さらに,Microsoft社も導入作業に協力するとしている。

 またMETRO Group社は,ドイツのノイスにRFIDシステム用の検証/デモンストレーション施設「RFID Innovation Centre」を開設する。同施設では,サプライヤが実際に近い環境でRFIDシステムの動作を検証できる。施設のシステム構築はIBM社が担当するほか,米Intermec Technologiesと米VeriSignも参加する。

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[発表資料(IBM社)]
[発表資料(Intermec社)]
[発表資料(VeriSign社)]