米ABI Researchは米国時間6月29日に,家庭内ネットワーキング技術に関する調査結果を発表した。それによると,家庭内エンターテインメント装置をネットワーク化する技術は,今後5年にわたって主流が定まらないが,最終的には802.11n規格を用いたWi-Fiが優位に立つという。

 調査では,電源線,Wi-Fi,UWB(Ultra Wide Band)などの家庭内ネットワーキング技術について分析を行った。ABI Research社は,Wi-FiとUWBがし烈な争いを繰り広げると予測する。

 ABI Research社上級アナリストのPhil Solis氏は「802.11aおよび802.11g規格の公式なデータ転送速度は54Mbpsだが,通信オーバーヘッドの影響で実際の速度はその約半分だ」と指摘する。

 一方UWBは,理論上,最大480Mbpsのデータ転送速度を実現するが,第1世代のチップセットがアセンブリ・ラインに乗るのは2005年で,UWB対応機器が登場するのは2006~2007年になる見込みだ。しかも実際の速度は100~200Mbps程度だという。

 その間に,802.11の新たな規格802.11nが認可され,「Wi-Fiが家庭内エンターテインメント・ネットワーキングで,確固とした地位を固める」(同氏)。802.11nが現れ始めるのは,UWB製品が登場するころ,あるいはその少しあとになる見通し。802.11nのデータ転送速度は,通信オーバーヘッドの影響を考慮しても100Mbpsで,UWBには分が悪い。「しかし,UWBはWi-Fiに対抗し続ける。カメラやカムコーダからパソコンへの画像および映像取り込みといった非リアルタイムのデータ転送などで,採用が見込める」(同氏)

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