米Texas Instruments(TI)と英ARMは,TI社の無線アプリケーション・プロセサ「OMAP」とハンドセット向けチップセット「TCS」へのセキュリティ技術「ARM TrustZone」組み込みに向け提携した。両社がそれぞれ現地時間6月29日に明らかにしたもの。「サービス・プロバイダ,消費者,無線製品OEMのセキュリティに対する不安解消に貢献する」(両社)という。

 TrustZoneは,Linux,Palm OS,Symbian OS,Windows CEやJava環境向けのセキュリティ基盤に相当する技術。マイクロプロセサのコア内部に統合されており,チップ上のメモリーや周辺機器を不正な操作から保護する。「セキュリティ機能がデバイスの心臓部に最初から組み込まれているので,コア領域や性能に与える影響を最小限に抑えられる。しかも,開発者は暗号化などの機能をバードウエア基盤上で追加できる」(両社)

 ARM社は,同機能を「ARM1176JZ-S」および「ARM1176JZF-S」コアに搭載している。これらを使用することで,スマートフォン,PDA,その他無線機器のセキュリティを高められるという。

 TI社は,ARM1176JZF-Sコアを使ってOMAPとTCSにTrustZoneを組み込む。「これにより,悪意のある攻撃から無線ネットワークを保護し,電子商取引やアプリケーション/ゲーム/メディア・コンテンツのダウンロードが安全に行えるようになる」(両社)

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